【ズームアップ甲子園】第96回全国高校野球選手権大会第10日(20日)第4試合で盛岡大付(岩手)が敦賀気比(福井)に1―16と大敗した。MAX150キロ&高校通算54本塁打で注目された盛岡大付・松本裕樹(3年)は右ヒジ痛もあって不完全燃焼で夏を終え、プロスカウトの評価は真っ二つだ。

 敦賀気比戦に先発した松本は大乱調。2回2/3、1本塁打を含む10安打9失点でKOされた。初戦の東海大相模(神奈川)戦では最速143キロだったが、この日は最速136キロ止まりで120キロ前半しか出ない直球も。シュート、スライダー、チェンジアップなどの変化球を多投して、直球を痛打されるパターンで大量失点した。

 不調の原因は右ヒジ痛で松本は「県大会決勝の後半ぐらいから痛みがあって、全力で腕が振れる状態ではなかった。あの程度のボールなら簡単に打たれる。自分のせいで負けてしまったと思うので悔しい」と唇をかんだ。将来については「どんな形であれ、いずれプロ野球でやりたい。(今回は)投げない選択肢もあったが、ここまで来たので自分から(甲子園の)マウンドを譲るという気持ちはなかった」と話した。

 この松本へのプロスカウトの評価は分かれている。「打撃もいいし、いい素材なのは間違いない。テクニックもある。直球とスライダー、カットボールの腕の振り方が同じで球種の見極めがつきにくい。初戦は1割の力も出していないような投球で抑えてしまったしね。高校生の時のダルビッシュは3割程度の力で放っているように見えたけど、それ以上」と、ある球団のスカウトはさらに二重丸をつけたが、別の球団のスカウトは渋い表情でこう言う。

「初戦で痛みがあるまま完投するなんて何を考えているのか。今回の影響で、痛みがなくなって完治したとしても、また150キロ台の直球が投げられるようになる保証はない。去年の甲子園に出場した安楽(済美)も高橋光成(前橋育英)も登板過多などで故障してから球速が出ずに、元の球速に戻そうと力みすぎてバランスを崩してしまって今年は予選で敗退してるでしょ。松本もこの代償が大きいものになるかもしれない」

 ドラフト1位候補・松本のまさかの夏。その力量に対するプロサイドの結論も注目される。