巨人「江柄子先発」で見えた監督力の違い

2014年08月19日 11時00分

ベンチから代打を告げる原監督(右)

 【大下剛史 熱血球論】セ・リーグは首位巨人から3位広島まで3ゲーム差の混戦模様となっている。2位阪神を含めた上位3チームに絞られた感のある優勝争いは、どう転んでも不思議ではない。

 

 すでに100試合以上を消化し、各チームとも連日の猛暑の中でギリギリの戦いを強いられている。そんな中でも余裕を感じさせているのが巨人だ。先発ローテの谷間とも言える17日の広島戦で実績の乏しい江柄子を先発させたことが、それを象徴している。

 

 どの時点で江柄子の2年ぶり先発を決めたのかは分からない。ただ、原監督は敵地での広島3連戦を前に「3連敗さえしなければいい」と考えたのだろう。勝ってくれれば儲けもので、実際に17日は勝ってもおかしくなかった。

 

 勝ち頭である菅野を欠く台所事情は決して楽ではない。それでも慌てることなく現有戦力でやり繰りし、一方で二軍調整中の元守護神・西村に先発テストを行うなど、先を見据えて次々と手を打っているのは「決戦は9月」と見ているからだろう。片岡やアンダーソンを欠く野手陣も、9月にベストメンバーで戦うための準備を着々と進めている。

 

 今季の巨人は阿部や内海といった名のあるベテラン勢が精彩を欠いており、チームとして大きな過渡期を迎えている。巨大戦力を有しているといっても、阪神や広島と比べて力が突出しているわけではない。そうした混戦の中でものをいうのが指揮官のかじ取りであり、監督としてV経験のない和田、野村両監督と比べて原監督には一日の長がある。

 

 広島が主砲エルドレッドに二軍での再調整を命じたのも「9月」を見据えてのことだろうが、ベンチワークには「日々是決戦」の意識が色濃く出ている。ペナントレースは全日程を終えて勝率で2位より“ハナ差”でも前に出ていれば優勝。今は首位巨人を追い抜くのではなく、置いていかれないことが大事で、広島の23年ぶり優勝は野村監督が我慢できるかどうかにかかっている。

 

 阪神も広島と同様に今は我慢のときだ。1・5ゲーム差という手の届きそうなところに首位の座がチラついているとはいえ、ここで色気を出しては勝負どころで失速するだけだ。何より阪神には甲子園の熱烈なファンの後押しがある。その最大のアドバンテージを生かすのは「今」ではなく9月9日から始まる本拠地での巨人、広島6連戦だろう。いずれにせよ、ここから先は「指揮官の戦い」になる。(本紙専属評論家)