【第96回全国高等学校野球選手権大会第6日(16日)近江8―0鳴門】先手必勝だ。2回、近江は2安打と死球で手にした二死満塁のチャンスを逃さなかった。堀口の左前適時打で2点を先制し、なおも一、二塁。小田快の適時2点三塁打でもう2点を加え、さらに植田が左前適時打。この回、一挙5得点を奪い、同じく猛打が売りの鳴門打線を圧倒した。6回にも4連打で3点を追加。「ここぞという時の集中力にびっくりした。素晴らしかったと思う」と多賀監督も目を見張るばかりだった。

 鳴門の“うずしお打線”に打ち勝った近江のつながる打線。この結果は苦しかった冬場の練習のたまものだ。ウエートトレーニングを初導入。ベンチプレスやアームカールをこなし、さらに徹底した走り込みを敢行した。多い日は100メートルダッシュを100本。「雪の上を走ることもあって、精神的にもきつかった」と地獄のような練習を経て、選手たちの体は一回り大きくなり、打球も鋭くなった。

 投げては先発・小川が鳴門打線を手玉に取り、9安打無失点で完封。初回にいきなり満塁のピンチを背負ったが、ここをしのいで勢いに乗った。小川は「低めにボールが集まったのがよかった。あそこ(初回)を乗り越えられたのも大きかった」。日頃から低めに投げる意識を持ち続けたことが、大舞台でも変わらぬ投球ができた要因だ。

 初回には自己最速の145キロも計測した。「キャッチャーに言われて『うそちゃうけ?』って」と右腕は笑顔。鮮やかな水色ユニホームの近江ナインは、さらなる進撃を見せそうな気配だ。