阪神は15日のDeNA戦(横浜)を“大変身”した2人の若虎の活躍により7―4で勝利した。

 まずは2回二死一塁から右中間三塁打で先制点を叩き出した伊藤隼太外野手(25)だ。これまで一軍に定着できなかったが、3年目の今季は7月に一軍昇格すると打率3割4分6厘と好調をキープ。先発出場する機会も増えた。

 慶応大時代の監督だった江藤省三氏は「楽しそうにやれていると思う。少し自信ができたのかな。ノビノビしている」と愛弟子の変身を指摘。即戦力と期待されながら過去2年間は辛酸をなめてきた姿を知っているだけに表情の変化で確実に成長していることを察知したのだ。

 もう1人は同点の8回二死満塁から走者一掃の右越え二塁打で勝負を決めた上本博紀内野手(28)だ。西岡の故障離脱後に「1番・二塁」に定着。完全にレギュラーの座を奪った形だが、グラウンドの外でも変化が生まれているという。

 あるコーチは「レギュラーを取ってから練習に対する意識が変わった。例えば『3連戦のうち1日はウエートトレーニングをやっておくか?』と声をかけられても自主的に3日間、毎日やっている。ストレッチも時間をかけてしっかりやるようになった。日々の努力が確実に力になっている」と目を細める。

 伊藤隼が「何とか打ち返すことができた」と胸を張れば、先の巨人3連戦で1安打に終わった上本も「最近ふがいない結果が続いていたので少しは貢献できたと思う」と顔をほころばせた。

 この2人の急成長があったからこそ優勝を狙える位置をキープしている。今後、激化するV争いでも“大変身コンビ”が虎軍団をけん引する。