名将の花道飾れず…九国大付“若生の教え”継承へ

2014年08月15日 16時00分

初戦敗退の九国大付・若生監督

【ズームアップ甲子園(14日)】第96回全国高等学校野球選手権大会第4日の14日、第2試合では今夏限りで勇退する若生正広監督(63)率いる九州国際大付(福岡)が東海大四(南北海道)に1―6で敗れ去った。名将の花道を勝利で飾ることはできなかったが、ナインは多くの“若生の考え”を後進に残そうと決意。絶品の“若生おにぎり”のレシピも継承させるつもりでいる。

 

 6回に主将・清水(3年)の適時二塁打で1点を返すのが精一杯。自慢の打線が東海大四・西嶋に5安打に抑えられての敗戦に、若生監督は「打撃にしろ守備にしろ自分のプレーができずにいつもと違った。力を引き出してあげられなかった。甲子園で勝つということはやはり難しい」と肩を落とした。

 

 2003年夏にダルビッシュ(現レンジャーズ)を擁した東北(宮城)で甲子園準優勝。06年から九国大付監督に就任し、09年夏に同校を27年ぶりの甲子園に導き、11年春には準優勝を果たした。一方で難病「黄色靱帯骨化症」を発症し、歩行が困難な状態に。名将は今後について「これからゆっくり考えます。まずは選手に最後の最後に甲子園に連れてきてもらったことを感謝したい」としみじみと話した。

 

 九国大付で最後の教え子となったナインは“若生の考え”を後輩たちに残すつもり。「野球ではバント、走塁、カバリングの大切さ。ヒットが出ても相手の前でガッツポーズはしないこと。それは人として大切なことです。礼儀はもちろん、困った人がいたら助ける。ごみが落ちていたら拾う、自分でできることは自分でやるとか、たくさんあります」(ある選手)。ナインの多くが日々の“若生語録”をメモしており、3年生は大学ノート3冊分にもなった。そこで「コピーして本にしたい。監督がいなくなっても新入生たちが考えを引き継いでくれるように」という。

 

“特製おにぎり”のレシピ継承も考えている。若生監督は週に2~3回、ナインに梅、ニンニクじょうゆ、昆布、シャケが入ったお手製おにぎりを持ってきてくれたそうで「これがめちゃおいしいんです」と大好評。いつも5~6個しかないため、ジャンケンになっていたほどで、こちらも「監督にレシピを聞かないといけない。その味を絶やさないように」(ある選手)。

 

 甲子園で優勝できなかったことに「日本一は選ばれた人がなる。私は普通のおっさんやけん」と話した若生監督。そのイズムは九国大付で伝説になる。