広島が“エルドレッド二軍落ち効果”で波に乗る――。8月に入って42打数2安打23三振と大不振に陥ったエルドレッドが14日、再調整のため出場選手登録を抹消された。これまで勝利に貢献してきた主砲の戦線離脱は痛いところだが、今回のエル砲の二軍落ちにチーム全体が引き締まり、ナインは危機感を強め、気合を入れ直している。

 本塁打と打点でリーグトップのエルドレッドが大不振のため、無期限での二軍降格となった。野村監督は「二軍に従ってやってくれと言っている。しっかり試合に出て調子を取り戻してほしい」。早期復帰を願っているが、中途半端な形で昇格させるつもりはない。

 ここまで4番を務め、打棒でチームをけん引してきたエルドレッドを野村監督は我慢して起用し続けてきた。しかし今回、痛手は覚悟の上で大なたを振るった。それが意外な効果をチーム内にもたらした。「監督がこれまで口にしてきた“結果至上主義”が本気であることが、今回のエルドレッドの二軍落ちで証明された。おかげで、選手は“チャンスに結果を出すことができれば試合に使い続けてもらえるんだ”というムードになっている」(チーム関係者)

 この日のヤクルト戦(マツダ)は2回表の攻撃中に大雨となり、1時間35分の中断の末にノーゲームとなった。この試合で4番に起用されたのは、エルドレッドに代わって一軍に昇格したロサリオだった。

 試合前には「(ファームでは)タイミングの取り方とバッターボックスで積極的に打つ気持ちを持っていくことに取り組んできた。ハードで一生懸命なプレーをしたい」と意気込み十分のロサリオに対し、野村監督は「調子と結果を見ながら使っていくことになる」。少しでも打てなければ、他の打者を4番に起用、チャンスを与える方針だ。もちろん他のポジションも同じだ。

 エルドレッドが不調で、一岡も再び離脱。チーム状況は苦しい。そんな中で首位・巨人と2位・阪神を追撃するには、競争によってチームを活性化するしかない。この方針で勢いに乗り、悲願のV奪回を成し遂げたい。