13日の巨人戦で、自身3連敗となった阪神・岩田稔投手(30)に首脳陣から「開き直り指令」が出された。首位浮上がかかった大事な試合で5回4失点。7月2日から4戦4勝と絶好調で「7月攻勢」の原動力となった左腕だが、一転して同29日から3連敗だ。メッセンジャー、能見、藤浪とともに先発陣を支えてきた存在だけに岩田の不調は今後のV戦線にも暗い影を落としかねない。

 一日も早い復調が急務だが、そのポイントについてコーチの一人は「マウンドでもう一度、開き直れるかどうかだ」と断言する。真意は「岩田は今年、マウンドで開き直って“投げること”に集中できていた。このためリリースポイントも安定していた。岩田は“動く直球”が武器の投手。リリースポイントの安定がボールの動きにつながり、結果も出た。しかし、大事な試合での登板やローテーションの柱になることで『勝ちたい』『相手の裏をかきたい』といった欲がマウンドで出てしまっている。ギリギリまで考えているからリリースが安定しない」というものだ。

 今季の岩田はオープン戦で結果を残せず開幕は二軍スタート。試行錯誤を繰り返す中で好投につながるリリースポイントをつかみ、7月の躍進につながった。しかし、活躍することでローテ投手の責任感、勝負の重圧などが心境に変化をもたらすという皮肉な状況に陥った。岩田も「慎重になりすぎて考えすぎてしまった」と自己分析する。これが投球フォームにも微妙な影響を及ぼし、中西投手コーチが「フォーム的にも修正しないといけない。前に戻っている」と指摘する状態になってしまった。

 ただ、原因がメンタル面にあるとはっきりしているだけに気持ち一つで修正は可能。岩田がどこまで開き直れるかがV戦線の鍵になりそうだ。