巨人は13日、阪神に5―1で勝利を収め、首位の座を死守した。この日は打線が相手左腕・岩田を鮮やかに攻略。投げては小山雄輝(25)が虎打線を7回途中1失点に封じ、無傷の4勝目を挙げた。だが、これでひと安心とはいかないのが首脳陣。今後のチーム状況次第では、原辰徳監督(56)が再び“内閣改造”に着手するのではないかとささやかれている――。

 長野の先頭打者弾に始まり、足を絡めて序盤で4点を奪取。小山がきっちり仕事を果たせば、不振のセペダにも特大の一発が飛び出しての快勝に、原監督は「久々に躍動したねえ」と顔に満足感を浮かべた。

 しかし、タオルで汗を拭ってひと呼吸置くとチーム状況を冷静に見つめ直した。「2試合に1回ぐらいはこういう試合をしないといけないんだよ。何十試合に1回じゃ困るんだ」。たかが1勝で吹き飛ぶほど、指揮官のストレスは軽くない。

 一番の悩みの種は貧打線だ。今季は何かと動きまくっている原監督だが、8月に入ってからは4番に阿部を固定。ここ5試合は1番から4番まで同じ顔ぶれを並べるなど、ようやく腰を落ち着けてきた。だが、チーム総得点は依然としてリーグ最下位。ひとたび相手に主導権を握られてしまうと、劣勢を跳ね返す力強さが今の打線にはない。

 これまでショック療法を繰り返してナインに奮起を促してきた原監督だが、最近はその矛先を打撃担当のコーチ陣に向けている。試合中のベンチでもコーチ陣に厳しい言葉を飛ばす場面がよく見られるようになった。

 前半戦途中からバッテリー担当を兼務していた村田打撃コーチが後半戦から再び打撃専任となった人事も、原監督の不満の表れ。チームスタッフによれば「監督が村田さんを打撃担当に戻したのは橋上さんと清水さん(ともに打撃コーチ)の働きに満足していなかったから」だという。

 最近、球団内や原監督の周囲では二軍で亀井(現在は左太もも肉離れでリハビリ中)を復活させた後藤育成コーチの評価が高まっている。それだけに「今後も貧打が続くようなら、次の標的は橋上、清水両コーチ。オフを待たずに後藤コーチとの入れ替えもありえる」(同)と予告した。

 原監督は今季、すでにコーチの配置転換を2度実行しているが、その後も「少々動きすぎと言われようがチームを動かし続ける」とキッパリ宣言した。2位阪神と1・5ゲーム差とし今回は首位陥落危機をなんとか回避したが、混戦を抜け出す迫力はまだない。この日の快勝が再浮上のきっかけになればよいが、コーチ陣の眠れない夜はしばらく続きそうだ。