セ・リーグ4位・中日が12日の5位・DeNA戦(岐阜)に4―6で敗れ、1ゲーム差に迫られた。谷繁元信捕手兼任監督(43)は「反省して、切り替えてやっていかないといけない。尾を引いても、ずるずるいくだけだし…」と必死に前を向こうとしたが、その胸中は複雑だったに違いない。

 この試合前まで3勝1敗と得意にしていたはずのDeNA・久保に7回2点止まりでの負け。竜打線が苦しめられたのは久保の「スーパークイック投法」だ。もともと久保はクイックのスピードに定評があるが、今季はさらに驚くほど進化。走者より、むしろ打者を幻惑しており「(球の)スピードは度外視して、打者のタイミングをずらすためだけにやっている」(中日スコアラー)。久保の直球は通常140キロ台後半だが、このスーパークイックでの直球は130キロそこそこ。それでも打者は、なかなかタイミングが取れなかった。

 チーム関係者は「久保は、これまで巨人戦などではスーパークイックを多用していたが、なぜかウチには、やってこなかった。それが巨人のウチとは対照的な対戦成績(巨人は久保に1勝3敗)につながっていたと思う」という。それをついに“解禁”され、いきなりやられてしまった。

 ビデオなどで久保の「スーパークイック」の報告を選手は受けていたが、実際に対戦すると勝手が違ったようだ。これまで11打数6安打と久保を打ち込んでいた荒木が4打数無安打に終わり「ちょっとクイックが速かったですね。(久保は)嫌いじゃないんですが、今日はやられました」と言えば、藤井も「速かったです。もっと素早く対応しなきゃいけません」と反省しきり。お得意様だった投手が厄介な投手に一変。中日にまた一つ難題が持ち上がった。