ロッテ入りした「キューバの至宝」ことアルフレド・デスパイネ外野手(28)が、1日のオリックス戦(京セラ)に「7番・左翼」で先発出場し、来日初アーチを放った。チームは2―6で敗れたが、今後の活躍が大いに期待されるところ。その一方では“危険な素顔”も明らかになった。

 出場4戦目となったこの日のオリックス戦、記念すべき一発が飛び出したのは0―0で迎えた2回の第1打席だった。

 相手先発の西から左中間スタンドへ特大の先制ソロ。キューバ国内リーグで通算220本塁打の強打者は「少し慣れてきた」と手応えを口にしたが、すぐさま逆転されて試合に敗れたとあって「チームが勝たないと意味がない」と笑顔はなかった。

 しかし、一見優等生に見える“キューバの至宝”には別の一面がある。

 キューバ国内リーグのアラサネス・デ・グランマやアビスパス・デ・サンティアーゴ・デ・クーバ、そして今年の5月中旬まで在籍していたメキシカンリーグのカンペチェ・パイレーツでは“本性”を時折のぞかせていたそうで、当時のデスパイネと付き合いのある日本人関係者が、次のように打ち明けた。

「試合中に自分のプレーに対して満足できなかったり、イラ立ちを募らせたりするとベンチ裏で叫びながら物に八つ当たりしたことが、これまで何度かあった。備品に頭突きを食らわせたり、椅子を投げ飛ばしたり…。とにかく物に怒りをぶつけるクセがある」

 それでチームメートから名付けられた陰の呼称が「オラ・グランデ(破壊者)」。キューバ代表でプレーした際、ビクトル・メサ監督から悪癖について自重するように何度も指摘され続けたことで「昔に比べれば、今は怒りの沸点がかなり高くなった」(前出の関係者)そうだが、完全に克服されたわけではないようだ。

「今年もメキシコでプレーしていた時の話なんだが…。ある日の試合中に好機で凡退した自分にイライラが爆発してしまい、ベンチ裏に置いてあった分厚い電話帳を真っ二つに引き裂いてしまったというんだよ。あまりの怪力に周りのチームメートも恐れおののいて何も言えなかったそうだ。デスパイネ本人は日本行きが決まってから『あんなことはもう二度とやらない。過去のことは忘れる』と言っているけれどね」(前出の関係者)

 ちなみに電話帳を引き裂くパフォーマンスは、かつてディック・ザ・ブルーザー(故人)ら有名プロレスラーたちが自らの超怪力ぶりを誇示するために何度か行っていた。それだけにデスパイネがひそかに持つ“怒りのスーパーパワー”は、まさに規格外と言えるだろう。

 ロッテ入りしてナインからは「デスパ」の愛称で呼ばれ、すぐさまチームに溶け込んでいるデスパイネ。だがロッテナインは、この新助っ人の知られざる素顔にはまだ気づいてはいないようだ。