巨人は27日の中日戦(ナゴヤドーム)を投手陣の踏ん張りで2―1で制し、最悪の3連敗だけはなんとか阻止した。原辰徳監督(56)は、不振の阿部慎之助捕手(35)と村田修一内野手(33)を外した“新世代打線”で臨んだが、狙い通りの打線爆発とはいかず。チーム内外に衝撃が走った“枢軸解体策”は、果たして吉と出るのか――。
スタメンに阿部と村田の名前がないことが伝わると、オレンジ色に染まったナゴヤドームの左翼スタンドがざわついた。村田が2012年に巨人へ入団して以降、2人が揃ってスタメンから外れたことは一度もない。原監督は長野と坂本を加えた4人を「枢軸」と呼んできたが、そのカルテットをついに“解体”したのだ。
試合は原監督が新リーダーの1人に指名する坂本が、先制適時打を含む2安打と活躍。阿部に代わってマスクをかぶったルーキー小林も大竹を7回1失点と好リードし、チームは亀井の犠飛で逃げ切った。
阿部と村田は結局、最後まで出番はなし。村田は「しょうがない。現状はこうだから」と語ったが09年9月21日から続いていた連続試合出場もこの日で途切れた。
原監督は「本来なら2人とも“デン”として中心打者でいてもらいたい選手だが、その辺がチーム状況。彼ら2人だけの力には頼らない」と語った。だが「まだ(打線が)爆発とはいっていない」と認めたように、この日勝てたのは投手陣の奮投のおかげだ。坂本と並ぶ新リーダーとして原監督が4番に据えた長野は4タコ。主砲を任された後半戦開幕後の6試合で24打数3安打と重圧に押し潰されている。
「本来はチョーさん(長野)が加わってくれると“ニュージェネレーション”というふうになるんだけど…」と原監督は不満をのぞかせたが、周囲には当分4番から動かさない意思を伝えているという。世代交代を進める決意は固いようだが、現状は負の影響が勝ってしまっているようにも見える。長野について、某球団スコアラーは「原さんは本当に4番で使い続けるの? 最近は強引な引っ張りが多くて、逆方向へのライナー性の打球が見られない。彼は3番あたりに置くほうが持ち味が生きる気がするけど」。
またチーム内では、スタメンをついに外された村田の精神状態を心配する声も高まっている。元来が真面目で繊細な性格だけに、度重なる“ショック療法”の副作用で「最近は少し自信喪失気味になっている」(チームスタッフ)という。
後半戦突入後は6戦4敗。選手会長と副会長を務め、ムードメーカーでもある村田と長野の“日大コンビ”に元気がないために今はベンチの空気も重い。背後にライバルチームの姿が迫る中、原監督はシーズン中の世代交代という難題をクリアできるか。その手綱に要注目だ。