<広島3-4阪神(25日)>エースで痛恨の逆転負け――。広島は25日の阪神戦(マツダ)に3―4で競り負け、連勝が2で止まった。先発したエース・前田は6回までを1失点に抑えたが、7回に上本に痛恨の同点2ランを被弾。この試合で5年連続の2桁勝利、10勝目とはならなかった。打線は田中が6号ソロアーチを放つなど猛打賞の活躍を見せたが、8回に中継ぎ陣が勝ち越し点を献上。好調の2位・阪神に勢いを見せつけられてしまった。

 粘りの投球も7回に落とし穴が待っていた。2点リードの7回、一死から代打・伊藤隼に安打を許して二死一塁で、打席には上本。ファウルで食らいついてくる相手に根気強く低めを突いた前田だったが、スライダーが甘く入った9球目を左翼2階席に運ばれる痛恨の同点2ランを浴びた。

 初回、珍しく先頭の上本に四球を出していきなり走者を背負う展開。それでも続く坂を空振り三振に仕留めると、ヒットエンドランで盗塁を試みた上本を同級生捕手の会沢が矢のような送球で刺してピンチ脱出に成功した。だが、2回にも四球を出すなど、決して調子がいいとは言えない状態だった。

「『今日すごく調子いいな』と感じるのは一年に1回あるかないか。あとは普通だったり悪かったり。その中でいかに抑えるか」と、状態が悪い中でチームを勝利に導く投球ができるかを自らに課している。それだけに最後の最後で浴びた一発は手痛いもの。降板直後のエースは「何もないです…」と唇を噛むしかなかった。

 上位の巨人、阪神を追い上げるために前田はこの日から金曜固定となり阪神→巨人にぶつける“上位叩きローテ”となる予定。上位陣に対してエースで先取するもくろみだが、その初戦を白星で飾ることはできなかった。また、勝てば5年連続2桁勝利だったが、それももお預けとなった。

 打線は初回にキラ、田中の連続適時打で2点を先制することに成功し、1点差の6回にはルーキー・田中が阪神・藤浪から右翼席に飛び込むソロアーチで追加点。猛打賞の爆発を見せた田中は「こすった感じだったので入るとは思わなかった」と驚いたが、大きな1点となった。だが、7回に同点にされると、前田がマウンドを降りた8回に中継ぎ陣が崩れ、勝ち越しを許してしまった。エースで初戦を落とした赤ヘル。このショックを残り2試合で一掃できなければ、上位追撃は厳しい。