阪神のルーキー捕手・梅野隆太郎(23)に対して首脳陣が「定休日」を設定する。7月は13勝3敗(24日現在)と驚異的な快進撃の猛虎軍団。その原動力となっているのは間違いなく攻守で大活躍の梅野だ。“勝負の9月”にパワー全開で戦うためにも、あえて「休暇」を義務づける。

 7月の13勝はすべて梅野が先発マスクだった。先輩投手を好リードするとともにバットでも9打点4本塁打と勝負強さを発揮している。完全に正捕手の座をつかみとったルーキーだが、チーム内には「いかにうまく休ませるか」という課題が浮上している。

 29日からは6カード連続で6連戦。そして、9月9日からの9連戦と続く。しかも、酷暑とカードごとの移動という負担も加わる。梅野はこんなに過酷な日程を経験したことがないため球団関係者も「一番、怖いのは好調の象徴である梅野が疲労で故障してしまうこと。それだけは絶対に避けないといけない」と心配する。

 不安は体力面だけではない。プロ1年生の梅野にとっては日々、すべてのプレーが勉強。その上、今後は他球団がこれまでの梅野のリードを分析し、対策を練ってくる。こうしたことにも対応する必要があり、新人捕手の頭脳が“パニック状態”に陥ってしまうことも懸念されている。

 そこでコーチ陣は「定期的に頭の中を整理させる必要がある」とメンタル面、思考回路をリセットするためにも“休養日”の設定が急務と考えているのだ。

 これまでも故障を抱えたベテラン選手に対して休養日を設定したこともあり、この特例を梅野にも適用する方針だ。ただ、快進撃の象徴でもある梅野の休養のタイミングを誤ればチームの勢いをストップさせてしまう危険もある。先発投手との相性、移動も含めたスケジュール、他球団の動向を考慮しながら、慎重に「定休日」を設定していく。

 吸収力が高い新人選手だけに順調に7月、8月を乗り越えることができれば心身ともに大きな成長が見込める。「勝負の9月」に向けて、綿密な準備を進めていく。