阪神・能見篤史投手(35)が“手応え十分”の敗戦だ。2―3と敗れた23日の巨人戦(甲子園)で9回3失点。5月24日のソフトバンク戦以来2か月ぶりの勝利もお預け、自身5連敗で今季9敗目を喫した。

 エースが白星から遠ざかっていることは今後の優勝争いに向けて大きな不安要素だ。しかし、和田監督が「内容のある投球で、しっかりゲームをつくってくれた」と言えば、首脳陣からは「勝敗以上に能見の投球は収穫」という声が相次いだ。

 今季、能見は開幕戦(3月28日)の巨人戦でいきなり10失点。5月3日のヤクルト戦、6月22日の楽天戦で5失点。そして、6月29日の中日戦でも9失点と大量失点が目立っていた。防御率も23日現在で4・56。2009年以降5年連続で2点台をキープしてきたエースとしては考えられない状態が続いていた。原因は開幕戦の10失点から始まった悪循環だ。コーチの一人は「大量失点をしたことから弱気になり、かわす投球になっていた」と説明する。

 さらに、後半戦は和田監督の「状態のいい選手から使っていく」という方針もあり、後半戦開幕は岩田、2戦目はメッセンジャーと開幕投手を務めた能見は3戦目に“降格”となっていた。

 この日は球団関係者が「連敗もしているし“エース剥奪”という危機感があったはず」と指摘するように並々ならぬ決意を抱いてのマウンド。そこでコーチ陣が「強気に攻めていた。やっと、もとの能見に戻った。今後につながる登板だった」と胸をなでおろす内容。次回は何としても“勝利投手”という結果をつかんでチームの好調の波に乗るつもりだ。