TG首位攻防戦第2R(22日、甲子園)は、2位・阪神が延長12回の激戦を3―2で制し、ゲーム差を1・5ゲームに縮めた。巨人は9回二死から代打で出場し、起死回生の同点弾を放った高橋由伸外野手(39)が定着しつつある“あの称号”に困惑しているという。

 粘りを見せた巨人だったが、2―2の延長12回二死走者なしの土壇場で守護神マシソンが福留に痛恨のサヨナラ弾を被弾。痛い連敗を喫した。

 それでも試合後の原監督は「よく頑張った」とナインの奮闘をたたえると「今日は阪神が勝ったが、紙一重というところ。こういう粘り強く戦うということが、これから非常に重要になる」と視線を前に向けた。

 勝負を決めた役者が福留なら、劇的な試合展開を呼び込んだのは高橋由の一撃だ。

 巨人が1点を追う9回二死走者なしの場面、5番村田の代打として球場騒然のなか登場すると、虎守護神・呉の“石直球”を捉え右翼席へ起死回生の同点3号ソロを放り込んだ。

 試合には敗れたものの、天才健在をアピールした高橋由。代打出場した打席では最近10試合で9打数5安打2本塁打と神がかり的な活躍を見せている。勝負を決める一打を何度も放ち、代打での打点も球団シーズン記録にあと2点と迫る16まで積み上げた。

 そんなベテランの働きぶりは、一部メディアから“代打の神様”と呼ばれ始めた。もちろん最大限の敬意が込められた称号だが、高橋由としては不本意でしかない。本人はまだレギュラーとしてバリバリ出場する意欲満々だからだ。

 代打出場が続いていることについては「そういう立場だからね」としたが“代打の神様”と呼ばれることには、苦笑いを浮かべながら「うーん、まだそうは呼ばれたくはないよね」と本音を明かした。

 本人はそれ以上語らないが、周囲は「体の状態はここ数年になくいいし、守備も問題ない」という。代打での活躍が目に付くが、スタメン6試合でも17打数6安打で打率3割5分3厘。選手やスタッフの間では「試合の頭から由伸さんを出してみては」と“スタメン待望論”も高まっている。

 首脳陣からすれば、実績ある高橋由は村田ら主軸に対しても使える貴重な代打の切り札だが…。4番不在の現状を考えると「由伸がもう一人いれば」というのがベンチの本音かもしれない。