<ヤクルト4-7広島(22日)>主砲のバットがまたも火を噴いた。広島エルドレッドが22日のヤクルト戦(神宮)で8回に31号同点ソロを放ち、3試合連続本塁打をマーク。延長10回にも32号を放った。シーズン50本塁打超えも夢ではなくなりそうな背番号55に、チーム内の期待は高まる一方だ。しかし、その半面で相変わらずの低空飛行を続けているのが、この日先発した同じ助っ人のブライアン・バリントン投手。自身の黒星こそ逃れたが、6回4失点の内容で登板7試合連続勝ち星なし。“イライラ病”の再発で周囲を悩ませている。

 それまで静まり返っていた赤ヘル党を狂喜乱舞させたのは、やはり“エル砲”だった。1点を追う8回先頭で打席に立ったエルドレッドは4番手・カーペンターの投じた高めのスライダーをカープファンの待つ左中間スタンドへ叩き込んだ。前半戦最後の公式戦(16日、DeNA戦)から3戦連発となる値千金の31号同点ソロ。4-4の10回には丸が勝ち越しの12号2ランの後、この日2本目となる32号をカッ飛ばした、勝利を決定付けた。脅威のハイペースで本塁打を量産する主砲のバットは実に頼もしい限りだ。

 しかし同じ助っ人でも対照的だったのが、先発マウンドに立ったバリントンだ。2点の援護を受けたものの4回一死一、三塁から岩村の内野ゴロの間に三塁走者の生還を許し、リードは1点差。この際に一塁ベースを際どいタイミングで駆け抜けた岩村がセーフ判定となったことで、バリントンが目をつり上げかける。一塁塁審に向かって両手を大きく広げながら“アウトじゃないのか”と言わんばかりのポージング。それで矛は収めたが、内心は穏やかでなかったようだ。

 怒りのマグマを沸々とさせたまま迎えた二死一塁。真ん中へ甘く入った2球目のチェンジアップを武内に右翼スタンドへ運ばれた。悪夢の逆転2ラン。この回だけであっさりと試合をひっくり返された。「バリントンには慢性的とも言える“イライラ病”がある。」とはチーム関係者。試合前からチーム内で出ていた指摘が、くしくも的中する格好となってしまった。

 一度狂ったリズムは簡単に修正できない。5回にも二死三塁から川端に中前適時打を許し、4失点目。結局、6回6安打4失点でマウンドを降りた。

 この日は1番・右翼でスタメン出場した堂林が自身プロ初の先頭打者アーチを放つなど、序盤からチームにいい流れが来ていた。それだけに助っ人右腕の“イライラ病”の再発が悔やまれる。

 6月1日の楽天戦(コボスタ宮城)以来、登板7試合連続で白星がない。4失点以上の試合が直近7試合中5試合というところも大きな懸念材料だ。チームは丸とエル砲の一発攻勢で勝利をもぎ取ったとはいえ、背信登板の続くバリントンが復活の白星をつかまない限り、赤ヘルの再浮上も難しいかもしれない。