藤浪にプロ初完投勝利以上の大収穫

2014年07月16日 16時00分

藤浪(右)はマートンと勝利のヒップアタック

 阪神は15日、藤浪晋太郎投手(20)の熱投で中日に8―1と大勝した。プロ2年目、公式戦39試合目の登板での初完投。ここまで時間を要したのには理由があった。実は、あえて「苦難の道」を選択していたというのだ。その“苦難”を克服しての完投勝利とあって首脳陣は藤浪の「大進化」を確信している。

 

 9回二死、虎ファンが「あと1球」コールを大合唱する中、最後の打者を空振り三振に仕留めると20歳右腕の笑顔がはじけた。5安打1失点(自責0)、自己最多タイの13奪三振。藤浪は「素直にうれしい。最後の“あと1球”コールは初めてだったので特別なものがありました」と表情をほころばせた。

 

 今季の目標の一つが完投だっただけにうれしい7勝目となったが、首脳陣も大きな成長を実感した。あるコーチは「今日はしっかりコーナーのギリギリに決まっていた。成果が出ている」と喜んだ。

 

 それもそのはず藤浪は大きな課題に取り組んでいたからだ。前回登板までの今季14試合で四球は41個。早くも24試合に登板した昨季の44個に到達する勢いだが、この数字こそが藤浪が挑戦していた「苦難の道」の足跡だ。

 

 前出のコーチは「藤浪は球威があるからアバウトにストライクゾーンを狙ってもアウトを取れるし、試合を作れる。しかし、今年はあえてコーナーを狙っている。四球が去年より多くなっているのは、それが原因。昨季より制球が悪くなったわけじゃない」と説明する。150キロ以上の直球にキレ味抜群の多彩な変化球。現状でも十分に勝負できる武器は持っている。

 

 しかし、藤浪が求めるものはもっと高いレベルだった。阪神のエース、日本のエースとして長く活躍するためには球威やキレだけに頼っているわけにいかない。常に安定した投球でチームメートから信頼される投手になるためにも緻密な制球力をマスターしようとしていたのだ。

 

 この日は初回に、いずれも直球で3者連続三振を奪う豪快さを見せる一方で低めにコントロールされたカットボールでゴロを打たせる巧妙さも見せた。その投球内容に和田監督も「完封に限りなく近い完投。本当に一つずつ成長している」と目を細めるばかりだ。

 

 大きな進化を遂げた期待の2年目右腕。後半戦の巨人追撃に向けて強力な武器となることは間違いない。