阪神は13日の巨人戦(東京ドーム)に関本賢太郎内野手(35)の代打逆転満塁弾などで6―4と快勝。前半戦最後の「伝統の一戦」に2勝1敗と勝ち越した。7月に入って10戦9勝。2位に再浮上し、首位・巨人とのゲーム差も3・5に縮めるなど、猛虎軍団は飛ぶ鳥を落とす勢いだ。この快進撃の源となっているのが“号泣県議”こと元兵庫県議の野々村竜太郎氏(47)だという。

 2点を追う7回二死満塁で送り出した代打の切り札・関本が一気に劣勢をはね返す逆転満塁弾。和田監督は「とっておきの関本がいい仕事をしてくれた。少しでも差を縮めて後半戦に入りたい」と逆転Vの足がかりとなる一発を手放しで喜んだ。


 5月以降の低迷で6月29日には借金2、Bクラスの4位まで後退した。それが7月に入ると一変し、10試合で8連勝を含む9勝1敗。一気に貯金を6まで戻し、首位・巨人の背中が見えるところまで迫った。


 この快進撃がスタートしたのは7月1日。偶然にも、この日は世界を騒然とさせた野々村氏の号泣会見が行われた日だった。虎ナインも話題の会見の映像を何度も見ているのだが、その胸中は怒り心頭だったという。選手の一人は「あれはダメでしょう。(政務活動費は)僕らの税金から出ているんでしょう。許せないですね」と怒りをぶちまける。


 本拠地・甲子園球場の所在地が兵庫・西宮とあって阪神の選手の大半は兵庫県内に住んでおり、県民税などの地方税を納めている。プロ野球選手会が発表した年俸調査では阪神ナインの年俸合計は12球団中3位の24億5500万円。主力選手は年俸1億円を超え、グッズなどの副収入などもある“高額納税者”だ。兵庫県の県民税(所得割)は前年の収入から必要経費などを控除した課税所得金額の4%。この課税所得金額が1億円の選手は400万円の県民税を納付していることになる。野々村氏が不自然に支出した政務活動費は3年間で約1834万円。“納税者”のナインが激怒するのも当然だろう。


 さらに、西宮市から選出された県議の不祥事及び号泣会見とあって、西宮市のイメージも大幅にダウンしてしまった。本拠地の甲子園球場をはじめ二軍本拠地の鳴尾浜球場や合宿所「虎風荘」など球団施設の所在地はすべて西宮市だ。そこで虎ナインは「僕らが頑張って西宮市のイメージを回復させたい」と“地元”の汚名返上に燃えているのだ。


「納税者の怒り」と「地元愛」――。今回の快進撃の裏に隠されていた意外なモチベーション。虎ナインは、この2つの言葉を胸に今後も戦っていく。