西武が11日のオリックス戦(西武ドーム)で延長12回の末、代打・脇谷の右前適時打で2―1のサヨナラ勝ち。12回表に登板し1回無失点に抑えた中郷に移籍後初勝利がつき片岡、涌井のFA補償で獲得した2人が投打の主役となった。

 7月に入って3度目のサヨナラ勝ちで借金を「9」に減らした田辺監督代行は「たまたまだよ。最後まであきらめない気持ちがベンチにある。いい粘りが出てきて何とかしようという気持ちが出てきた」と総力戦でもぎ取った1勝に手応えを語った。殊勲打の脇谷は「この前、斉藤が打ったり(渡辺)直さんが打ったりして僕もその流れに乗って打てたと思う。あんなおいしい場面でいけたのもスタメンの人たちが頑張ってくれたおかげ」と謙虚さをのぞかせた。

 それもそのはずで、巨人にFA移籍した片岡の人的補償で加入した脇谷は、巨人時代からじっこんだった伊原前監督(現球団付アドバイザー)の肝いりで指名された数少ない伊原チルドレン。後ろ盾だった親分が求心力を失う形で失脚し、ともすれば孤立してもおかしくない立場だったが、陰の努力を見逃さない仏の田辺代行はそんな区別はしない。

「(中郷と)2人ともチームの一員ですから戦う集団として欠かすことのできない選手。出たところで頑張ってもらいたい」と分け隔てのない起用を約束している。恩人の鬼監督が失脚しても仏の代行に救われた苦労人が、巻き返しへの貴重な戦力となるか。