7連勝中と好調な阪神が11日からの首位・巨人との3連戦(東京ドーム)のために東上した。前半戦最後の伝統の一戦。後半戦に本格化するV戦線に備えて何としても勝ち越さなければいけない決戦だ。そんな中、成長著しい新人捕手・梅野隆太郎(23)に対して指令が出された――。宿敵の正妻・阿部から見逃し三振を奪え!

 10日の広島戦(甲子園)は台風8号接近による天候不良が予想されたため午前10時30分に早々と中止が決定。虎ナインは甲子園球場の室内練習場で約2時間の練習後、決戦の地・東京に出発。和田監督は「今の流れだったら選手はやりたかったはず。でも明日以降のことを考えるとね。9連戦中だし、いい雨にしたい」と話した。7連勝中とはいえ、リリーフ陣の連投が続いている。この日の予告先発も普段は中継ぎでプロ初先発の金田。対する広島はエース・前田と明らかに分が悪かった。さらに、当初はナイター翌日の11日午前中に上京して試合という過酷な予定も決戦前日の10日のうちに移動を完了。阪神にとっては大きなプラスになる水入りとなった。

 こんな“恵み”を受けての伝統の一戦。最低でも2勝1敗でゲーム差4.5を縮めておく必要があるが、同時に首脳陣がひそかに注目している対決がある。それがルーキー・梅野VSベテラン・阿部だ。

 ある球団関係者は「見逃し三振は捕手のリードの力。谷繁に続いて阿部からも見逃し三振を取れば自信は確信になるはず。梅野が勢いづけばチームにも勢いが出る。巨人を追撃するためにも3連戦で1つは阿部から見逃し三振を奪ってもらいたい」という。

 梅野は6月27日の中日戦で同点の9回表、一死一、二塁のピンチに谷繁を見逃し三振に打ち取った。

 コーチの1人は「自信になっただろう。梅野の若さが結果的に谷繁の裏をかいただけかもしれない。それでも研究していた谷繁から見逃し三振を取ったということは大きい」と評価。1年生捕手とあって梅野は日々、首脳陣と配球を勉強中だ。中でも参考にしているのが中日・谷繁と巨人・阿部というベテラン捕手だった。その谷繁から見逃し三振を奪ったことでレベルアップ。今回、阿部をリードで翻弄できれば、さらなる進化につながると期待されているのだ。

 梅野VS阿部――。この女房対決の結果が今季のペナントレースの流れを変えるかもしれない。