覚醒した大谷に日ハム首脳陣も“成長カーブ予測不能”

2014年07月11日 06時00分

雨中のピッチングにもかかわらず、大谷は球団タイ記録の16奪三振をマーク
雨中のピッチングにもかかわらず、大谷は球団タイ記録の16奪三振をマーク

 日本ハム・大谷翔平投手(20)が9日の楽天戦(コボスタ宮城)に先発し、4安打1失点の無四球完投で今季8勝目(1敗)を挙げた。毎回の16奪三振は自身プロ最多で、球団タイ記録。チームは2―1で勝った。最後の打者・ボウカーを三振に仕留めた直球は159キロを計測するなど余力たっぷりで、いよいよ覚醒した感のある怪物には、味方である日本ハム首脳陣も“お手上げ”状態なのだという。

 

 雨の仙台で最速159キロストレートと140キロ台の高速フォークを駆使し、積み重ねた毎回の16奪三振。これは1958年5月31日の西鉄戦で土橋正幸が、1980年9月22日の近鉄戦で木田勇がマークした球団3人目の記録。昨年のア・リーグ奪三振王に輝いた、あのダルビッシュさえも15奪三振どまりだったことを考えれば、それをプロ27試合目であっさり抜き去った大谷の進化スピードは驚異的でもある。

 

 1―1の同点で迎えた5回一死二塁のピンチでは、前日の試合から6打席連続安打中の絶好調男・松井稼を外角高めの158キロで、続く藤田も内角157キロで連続空振り三振。勝負どころを心得た投球でこの試合最大のピンチを切り抜けた。

 

 大谷は「あそこで気持ちが入った。(松井稼に4安打された)昨日のことがあるので、打たせないようにした。朝から調子が良くて最後までいくつもりでした」と2―1の1点差ゲームをものにした20代初勝利を振り返った。大谷に関しては常に厳しくあろうとする栗山監督も「褒めたかないけど少し前に進み始めたかなと思う。いい打者を自分のプラスにしていけた。力で押し切れる翔平らしさが出始めた。今日のゲームはウチにとってとても意味があった」と賛辞を送るしかなかった。

 

 プロ初の完封勝利を挙げた5月13日の西武戦(函館)、プロ入り自己最速の160キロを初めて計測した6月4日の広島戦(札幌ドーム)、6回二死まで完全試合を演じ、甲子園初勝利を挙げた6月18日阪神戦…とここ2か月間は悪い状態でもしっかり試合を作り、1戦ごとに成長の証しを示してきた。

 

 黒木投手コーチは「この間の西武戦(7月2日)ではあれだけ悪い状態の中で(7回2失点と)試合を作れた。試合の中で状況を読んで打者との押し引きをしたり、こちらが何も言わなくてもいろいろなことができ始めている。翔平の投げる試合ではブルペンを終盤まで準備する必要がないくらいの信用がいまはあるんじゃないですか」。すでにコーチの手のかからないほどまでに急成長した大谷には、いい意味での“お手上げ”状態だという現状を明かした。

 

 それにしても5日のロッテ戦(QVC)で1試合2本塁打を放ったばかりの強打者が、4日後には投手として“ダル超え”となる球団タイ記録を作ってしまうとは…。この日最後の打者に記録した159キロを見る限り、課題だったスタミナ面も克服していそうで、手のつけられない選手となりつつあるのは間違いない。

 

 このままいけば投手・大谷のノルマにもされているダルのプロ2年目の勝ち星「12勝」も難なくクリアできそうで、もちろんその先には現在リーグ3位の防御率2・35、同3位の8勝など、タイトルまで見えてくる。

 

 成長著しい大谷は、残り3か月強でどこまでの投手になるのか…。誰にも予測できそうにない。