まさにミラクルだ。楽天は5日、2―5の9回、一挙5点を奪い、ソフトバンクに逆転勝ち。大久保監督代行は試合後も興奮冷めやらぬ様子で「奇跡だよ、奇跡ッ!」と叫んだ。


 この日はエースの則本が5回途中5失点でKOされた。敗色濃厚で迎えた最終回。先頭・西田の右前打が猛攻の起点となった。聖沢、松井稼が続き、無死満塁。岩崎は空振り三振も、銀次が左中間に打ち返し、2点を返すと、ジョーンズの犠飛で同点。なおも二死一、三塁から岡島も2点適時打し、鷹投にとどめを刺した。


 ここまで19セーブで防御率0・52のサファテを相手に、本塁打なしで5点を挙げた。強打の鷹打線のお株を奪う“畳みかける攻撃”で、勝利をつかみ取った。大久保監督代行は「一生懸命やっていれば奇跡がおきる」と健闘したナインをたたえた。


 星野監督が休養し、佐藤投手コーチから大久保二軍監督への不可解な“監督代行交代劇”もあった。ごたごた続きのうえに、エースの則本でこの日の試合を落とし3連敗となっていたら、チームのムードはますます悪くなっていただろう。前日のサヨナラ負けのショックもきれいに吹き飛んだ。


 日本一に輝いた昨季も終盤に劣勢を跳ね返して勝つ試合がなんどもあった。ナインは「(日本一になった)去年のような勝ち方ができた」と胸を張り、大久保監督代行は「オレたちはまだ優勝を諦めていない」と言い切った。順位はまだ最下位ながら、この日の激勝はイヌワシ軍団の“希望の光”となりそうだ。