巨人は5日、中日戦(東京ドーム)に7―6とサヨナラ勝ちし、2連勝で今カードの勝ち越しを決めた。リードを奪えば追いつかれる厳しい試合展開となったが、延長10回、長野がこの日2本目の適時打を放ち、チームに勝利をもたらした。8回にも一時勝ち越しとなる2点適時打を放つなど、Gの背番号7は大好きな夏が近づくにつれてどんどん調子を上げている。

 6―6で迎えた10回一死二塁。このチャンスに長野はカウント3ボールから高めに浮いたスライダーを捉える。打球は左中間を抜けていき、二塁走者が生還。背番号7はグラウンドで笑顔をはじけさせた。

 カウントからすれば1球待ってもいい場面だった。それでも「監督から(打ちに)いってもいいと言われていたし、後ろに阿部さんやホセ(ロペス)も控えていたので」と攻めの姿勢で劇打を決めた。原監督は「竹を割ったような開き直りがいい形で出たね」とうなずいた。

 8回にも2点適時打を放つなど、5打数3安打3打点と勝利に貢献した。開幕から長く不振に苦しんだ。交流戦ではルーキーイヤー以来となる9番に下げられたこともあった。一時はスタメン落ちもささやかれたが、最近はチャンスに持ち前の勝負強さを発揮するケースが目立つようになってきた。長野は「夏が近づいてきたからじゃないですか」。原監督も、ようやく「存在感が出てきたね」と目を細める。

 坂本、長野、村田、阿部といった「打の枢軸」が機能しなければ、強力打線は持ち味を発揮できない。阿部、村田に続いて長野の復調は、チームのとって何よりの好材料だ。

 チーム内からは「プロ5年目で、こんなに長いスランプは長野自身、初めてだったのではないか。いずれにしろ、将来のクリーンアップを背負って立つ人材には違いない。この苦しみを将来に生かしてくれればいい」との声も上がっている。

 ヒーローインタビューを終えた長野は「もっと面白いことを言おうと思ったのに、(そういう)質問が出なかったので…」とニヤリ。このような軽口が叩けるのも調子が良くなってきたからだ。これからもっと大暴れして、今までチームに迷惑をかけた分を取り戻す。