首位固めに入った巨人が本気モード突入だ。29日のヤクルト戦(秋田)は雨天中止になったが、巨人ナインは遠征先の“夜の街”で羽を伸ばすことはなかった。その理由を探ってみると、首脳陣は遠征が多く組まれた今の時期が勝負どころと判断。コンディション維持を重要視する原辰徳監督(55)の方針に沿って“門限取り締まり強化キャンペーン”を実行していることが分かった。

 巨人の練習中にパラパラと降り始めた雨は次第に強さを増し、こまちスタジアムの土のグラウンドには、みるみるうちに水たまりが出現。午後1時すぎに中止が決定した。

 球場に詰めかけた秋田のファンには残念な結果になったが、天候には逆らえない。原監督は「流れに身を任せていきます」と受け入れると、ナインは足早にバスに乗り込み、宿舎へ戻った。翌日は試合がなく広島への移動日。秋田のネオン街で息抜きする時間は、たっぷりある。しかし選手たちの表情は、いつもとは違った。

「実は最近になって門限が厳しくなったんです…」

 ある若手が苦い顔でそう明かした。巨人では、遠征中の門限は「午前1時」と決まっているが、これはあくまで原則。翌日がナイターや移動日の場合は、よほどのケースを除いて多少のオーバーは“黙認”されてきた。ところが、先日の札幌遠征(11、12日)でのミーティングで“取り締まり強化”が言い渡されたという。

「それより少し前の遠征で、一部選手が門限を大幅にオーバーしたことが発覚したのが直接のきっかけだったようです。でもそうした話は珍しくないので、急に厳しくなった理由はよく分からないんですけどね」(同)

 一方、“取り締まる側”の球団スタッフは「規則を変えたわけではありませんが『門限があることを忘れていないか?』ということ。大人な選手たちは理解してくれているでしょうが、大事な時期ですし、気を引き締めていこうということです」と意図を説明した。

 来月は広島遠征(1~3日)に始まり、中旬には沖縄遠征(8、9日=対DeNA)がある。さらに後半は大阪(21~23日、甲子園)→名古屋(25~27日、ナゴヤドーム)→大阪(29、30日・京セラ=対DeNA)と続く長期遠征も控える。若手を中心に「高校生じゃないんですから門限は必要ないでしょう」とブーイングも上がるが、今回の措置はそうした強行日程を念頭に置いてのこと。あるベテランも「首位に立ってホッとするんじゃなく、他が調子を落としているうちに突き放しておきたい。そのためには体調を万全にしておくことが大切。度が過ぎる夜遊びは控えないとね」とピシャリだ。

 遊びたい盛りの選手たちは、さぞストレスがたまるだろうが、チームにとっては今が3連覇への勝負どころ。有り余ったエネルギーはグラウンドで発散するしかないか。