巨人がリーグ戦再開初戦を白星で飾った。秋田で行われた28日のヤクルト戦(秋田)は、交流戦優勝の勢いそのままに打線が爆発。5号2ランを含む2安打4打点の長野ら主軸打者の活躍で9―0で圧勝した。投げては先発の杉内が7回5安打無失点で6勝目。夏場を迎え、セ界王者のエンジンにいよいよスイッチが入った――。

 元気がなかった“打の枢軸”が、秋田で水を得た魚のように暴れ回った。原監督は宣言通りに坂本―片岡―亀井で1~3番を形成すると、4~6番には村田、阿部、長野を配置。するとこの“和製上位打線”が見事にはまり、文字通り「線」になって相手に襲い掛かった。

 初回二死から好調の亀井が四球で出塁したのが、打線点火の合図だった。村田が左前打で一、二塁と好機を広げると、「初球から振る準備はできていた」という阿部がナーブソンの直球を右前に運んでまずは1点を先制。さらに長野も投手強襲安打で続き、いきなり2点のリードを奪った。

 主導権を握った巨人は、3回も二死から相手のミスを見逃さず、流れるような攻撃を展開した。四球と悪送球で二塁に進んだ村田を置いて、阿部の打球を遊撃・森岡がトンネル。ラッキーな3点目が入ると、続く長野が初球を豪快に叩いて、一気に勝負を決めた。

「久しぶりにきれいに打つことができました」と長野が珍しく自画自賛したライナー性の打球は、スライスしながら右方向へ。右方向へ吹く風に流されながらも伸び続け、右翼ポール際ギリギリに飛び込む約2か月ぶりの本塁打となった。

 その後も打線は4点を追加し、投げては大量援護を受けた杉内が7回を5安打無失点。終わってみれば前半戦不振にあえいだ村田、阿部、長野の“枢軸トリオ”が計7安打4打点の大爆発だった。

 阿部は「意識はしていない」と話すが、開幕時に比べて体重を約3キロほど減量。これで動きにキレが戻ってきた。原監督がスタメン落ちを示唆していた長野も、体調面の不安が消えたことが大きい。最近6試合は23打数12安打とようやくスランプを脱しつつある。

「交流戦明けで良いスタートが切れた」と喜んだ原監督は、打線のつながりの要因を聞かれると「それぞれコンディションが上がった状態で今日を迎えられた」と分析。主軸の働きを果たした阿部については「誰かが引っ張るという環境もいいね」と満足感を浮かべた。

“枢軸”たちが目覚め始めた巨人を、止められるチームはセ・リーグには見当たらない。2位広島との差を3に広げ、王者のリーグ3連覇が見えてきた。