巨人・長野久義外野手(29)に完全復活へのノルマが課せられた。26日現在で5試合連続安打をマークし続けるなど一時期のスランプを脱しつつあるが、原辰徳監督(55)ら首脳陣はまだ現状に満足していない。求めるものも大きいチーム屈指のバットマンをさらに奮起させようと指揮官がスタメン落ちの可能性までチラつかせると、別の首脳陣は具体的な数字を掲げた。

 25日の全体練習に姿を見せた原監督は、穏やかな口調ながらも長野へ“ムチ入れ”を行った。左大腿部肉離れで二軍調整中の橋本が早ければ7月1日からの広島戦(マツダ)に合流する見通しであることを明かすと「橋本がスタート(開幕)時の状態なら、センターかなと。(右翼には)亀井もいるし、今のままの状態だとチョーさん(長野)のスタメンも厳しくなる」。

 なかなか復調しなかった長野の打棒は、最近になってようやく復調しつつある。とはいえ、26日現在で打率2割7分8厘、4本塁打、23打点の成績は「天才」と称される背番号7にとって確かに物足りない数字だ。プロ2年目の2011年シーズン以降、長野が不振でスタメン落ちしたケースはないが、それを熟知した上で指揮官はあえて厳しい言葉を向けてハッパをかけた。

 能力は超一流。それだけに他の首脳陣も長野のさらなる復調を願っている。橋上打撃コーチは「あくまでも監督が決めること」と前置きし、交流戦最後の5試合で記録した18打数10安打の“猛チャージ”こそがリーグ戦再開後の5試合におけるノルマになるとの見解を示した。

「悪かったころ(と現在を)比べると、軸足にしっかり『ため』ができるようになっているし、そのくらいまで(調子が)上がってくれれば、監督にとってもうれしい悲鳴になると思うんだけどね」(橋上コーチ)

 長野は交流戦終盤に見せた“猛チャージ”について「まぐれですよ」とひと言。原監督ら首脳陣の期待にこたえるまで、試練は続きそうだ。