阪神・藤浪晋太郎投手(20)が「エース論」を本紙に激白した。今季は能見、メッセンジャーとともに先発3本柱の一角としてフル回転。25日現在で12試合に先発し、4勝4敗、防御率3・09という成績だ。入団時から「阪神はもちろん球界を代表する投手になる逸材」という宿命を背負う2年目右腕が胸に秘める“エースの条件”とは――。

 藤浪はキャッチボールやランニングなどで次回登板に向けて調整。「体調はいつも通りです。しっかり体を動かして悪いものを出してリフレッシュしています」と意気込みを語った。

 ルーキーイヤーの昨年はセ・リーグの高卒新人では1967年の江夏豊(阪神)以来46年ぶりとなる10勝をマーク。2年目の進化が期待された今季は打順3巡目、投球数も100球を超える7回前後に打ち込まれるパターンが続き、思うように白星が伸びていない。しかし、17日の日本ハム戦では勝利投手とはならなかったものの、自己最多の136球、13奪三振で8回1失点。終盤も球速150キロ台を連発するなど“覚醒”を予感させる快投を披露した。

 着実にステップアップし、今後のマウンドに期待が膨らむ藤浪。本紙が「エースとは?」と直撃すると、20歳右腕は淡々とした口調でこう切り出した。

「今、各チームに一人ずついる。そういうもんじゃないですか。エースという言葉は抽象的ですよね。もちろん勝つことでそうなるんですけど、世間が認めるかどうかじゃないですか。チームに信頼されている人がエースと呼ばれている」

 そして“エースの条件”については「しっかり試合を作ることだと思います。勝てるかどうかは運の部分もある。毎回、勝てるかどうかはわからないが、しっかり試合を作ること」と言い切った。

 ここまで先発3本柱は能見が5勝6敗、メッセンジャーが5勝7敗、藤浪が4勝4敗と黒星が先行している。チームを立て直すためには、当然のことながら主軸の3人が踏ん張らなければならない。将来のエースと期待される20歳右腕の自覚と覚悟は十分。その剛腕に注目だ。