巨人が22日のソフトバンク戦(東京ドーム)に10―5で勝ち、2年ぶり2度目の交流戦優勝を決めた。前日21日の試合でソフトバンクに敗れて首位の座を明け渡したが、最後の直接対決で再逆転に成功。原辰徳監督(55)は「チームとしては70%。まだやれるチームだと思う」としながらも、V貢献者として、この日先発して3勝目を挙げた小山雄輝(25)や、勝負強い打撃でチームを救った亀井善行外野手(31)らの名を挙げた。しかし、チーム内からは意外な“裏MVP”の名も挙がっている。



 序盤で一気に試合を決めた。初回に相手のミスに乗じて2点を先制すると、2回には二死から片岡、亀井が連続適時打。さらに村田に9号2ランが飛び出し一挙5点。いきなり7―0として、その後も着実に加点して押し切った。


 先発の4年目右腕・小山は「勝ったほうが優勝」という大事な試合の大役を任されながらも、打線の大量援護もあって6回3失点で3勝目。勝ち星はすべて交流戦で、交流戦の防御率もチームトップの1・33と、MVPの最有力候補に躍り出た格好だ。


 野手では、交流戦の規定打席には達していないものの、打率3割5分6厘、3本塁打と打ちまくった亀井が有力。交流戦は25日に全日程が終了するため、優勝が決まったこの日にMVPなどの発表はなかったが、優勝した巨人勢から選ばれるのはまず間違いない。


 もちろん小山も亀井もMVPにふさわしい活躍をしたが、チーム内では“陰のMVP”として別の2人の名前が挙がっている。それは不惑40歳を目前に控えた、高橋由伸外野手(39)と井端弘和内野手(39)の“アラフォーコンビ”。目に見えないところでチームの雰囲気作りに一役買ったという。


「あの2人が気にしていたのは『チームで浮いた存在になってしまう』こと。2人とも存在感では群を抜いているだけに、若手を萎縮させたり、自分がしゃしゃり出てしまうことだけはしないように気を配っているんです」とはチーム関係者。


 別のチームスタッフも「井端さんが事あるたびに言っているのは『選手である以上、試合に出るのが目標だけど、そうでない部分も分かっている』ということ。余計なことは言わず、自分の仕事をすることを徹底している」と声を揃えた。


 実績あるベテランが若手を説教したり、首脳陣への不満を口にしたりすれば当然、ムードは悪くなる。


 ただベンチにドカッと座っているだけでもピリピリした空気になりがちだ。そんなこともあり、2人は主将・阿部のもとで若手が一丸になっている今のチーム状態の邪魔をしないよう“空気”のような存在になろうとしている。しかし、いざ勝負どころで出場すれば、自分の仕事はきっちりこなす。井端は5月29日の楽天戦で内海の初勝利を演出するタイムリー。高橋由は6月15日の楽天戦で、土壇場の最終回に則本攻略につなげた右前打が記憶に新しい。


 実際、本人はどう思っているのか。高橋由は笑顔で「特に何をしているわけでもないですよ。2人で話し合っていることもないし。若手に気を使うというよりも『どうぞ、勝手にやって』という感じだから。井端も、アイツはアイツで気を使っているだろうけどね」。こうしたスタンスが若手をのびのびプレーさせている。村田の代打に高橋由が出てきても、チームの空気が悪くならないのがその証拠だろう。高橋由も井端も一時は名実ともにチームの看板を背負ったスター選手。しかし、今はベテランとして“裏方”に徹している。今後もこのアラフォーコンビが巨人を陰で支えていきそうだ。