ソフトバンクは15日、DeNA戦(ヤフオク)に1−5で敗れた。育成出身の飯田がプロ初先発で6回途中を2失点と奮闘。しかし打線は1点しか援護できず、救援陣も逆転を許すなど、若鷹の奮投に応えることができなかった。ウエスタン・リーグでは7勝0敗の実績を買われ一軍に昇格し“鷹の秘密兵器”として期待された左腕だったが、ほろ苦いデビュー戦となってしまった。

 プロ初先発のマウンドで、ソフトバンクの飯田は躍動していた。コースを突く真っすぐと、切れのあるスライダーを中心に堂々たる投球。味方が先制した直後の5回まで無失点を続けた。

 しかし勝利投手の権利を得た6回。「勝ちを意識して力んでしまった」と先頭の石川に四球を与える。続く打者は、第1打席に大飛球を打たれたグリエルだった。「低め、低めと思って、後手に回った」と警戒しすぎて連続四球。突如乱れた23歳を、秋山監督はあっさり代えた。

 だが、マウンドを引き継いだ森福がバルディリスに2点二塁打を打たれ逆転を許し、これで飯田の初勝利は消滅。秋山監督は「外す球を打たれるようではいかんな」と森福を責め、飯田には「投げっぷりがよかった」と高い評価を与えた。ところが本人は「ああいうところで降板するというのは得点パターン。つくってしまった自分の責任。今日は1—0で勝たないといけない試合」と自分を責めた。

 先輩からコップに日本酒をつがれ「飲めよ」と挑発された時、飯田は「負けるものか」とそのコップではなく焼酎の一升瓶を飲み干してみせた。負けん気の強さは人一倍だ。それだけにチームの負けにつながるピンチを招いた自分が許せない。「5回までは緊張もなく、比較的思い通りに投げられた。内角も要所要所で有効に使えた。それでも、自分の中でよくやったという感じはない。悔しいだけです」と唇をかんだ。

 飯田のデビュー戦を勝利で飾ろうと燃えていた打線も空回りした。4回二死二塁。長谷川が一塁の横をすり抜ける強烈な適時右前打で1点を先取。だが6回一死二、三塁では李大浩、長谷川がともに空振り三振。ここぞの場面で1本が出ず、先発としては初対戦となるDeNA・山口を打ち崩せなかった。

 チームの連勝は止まり3位のまま、交流戦は残り4試合となった。2年連続Vのためには、もう一つも落とせない。