阪神・福留孝介外野手(37)が10日、打撃不振のため出場選手登録を抹消された。今季は開幕から調子が上がらず打率1割8分8厘。二軍で再起を図ることになったが、問題は一軍復帰のタイミングだ。当たればチームは加速。一歩、間違えれば失速してしまう。この重要な判断をどうやって下すのか――。岡田彰布元監督(56)の類いまれなる勝負勘に注目が集まっている。

 和田監督は「出場機会も減ってきたし、今のままではズルズルいってしまう。ファームで数多く打席に立って状態を上げてほしい」と二軍落ちの経緯を説明した。復帰時期については「すぐに戻ってきてほしいけど、期限を決めてしまうと同じことの繰り返しになってしまう。しっかりと状態を上げてもらってから…」と慎重に見極める方針だ。

 指揮官が「勝負どころでは絶対に必要な選手」と絶大な信頼を寄せるように本来の勝負強さが戻ってくれば優勝争いで大きな戦力となる。その一方で再び結果を出せないとなると大事な戦力を失い、苦戦を強いられることになる。

 まさにシーズンの命運を左右する判断となるが、チーム内では「岡田さんの勝負勘に頼るのがベストではないか」という意見が続出している。就任2年目の2005年にリーグ優勝を果たし、06年からは3年連続で優勝争いに参戦した。選手起用、采配では独特の勝負勘を発揮し、周囲を驚かせることもあった。08年には大不振に陥り、二軍で調整中だった今岡を急きょ、一軍に呼ぶと1打席目に本塁打、最終回には押し出し四球を選ぶヒーローとなった。

 当時を知るチーム関係者は「あの時、今岡は二軍でもあまり良くなかった。でも、監督室のテレビで二軍戦を見ていた岡田さんが今岡の打席を見て“すぐ呼べ!”となった。後から“スイングを見て、打つと思ったんよ”と涼しい顔で言っていた」と振り返る。その上で「とにかく洞察力とか観察眼は鋭かった。福留の復帰時期というのはチームに大きな影響を及ぼす判断になるし、岡田さんの意見を参考にして判断するべきだ」と力説する。

 福留の復活のため、8年間も遠ざかっているリーグ優勝をゲットするためにも岡田氏の眼力をフル活用するのも手かもしれない。