阪神の藤浪晋太郎投手(20)が4日の楽天戦(コボスタ宮城)に先発し、7回1失点で4勝目を挙げた。今季初めて2戦続けての勝ち星。この復活劇の裏で、チーム内では「窮地効果」なるものがささやかれている。

 1回に西田を三振に仕留めた直球は一軍戦では自己最速の156キロを計測。前回登板(5月27日、ロッテ戦、甲子園)で8回無失点と好結果を出したノーワインドアップでの投球を継続。藤浪は「自分の中で、しっかりストレートを投げ込めている感覚がある」と話した。

 1回二死から四球で岡島を歩かせ、続くジョーンズの投ゴロを一塁へ悪送球して先制点を許してしまったが、その後は打線の大量援護もあってリズムに乗った。7回、125球を投げて6安打1失点で4勝目をマーク。今季初めての2試合連続の白星は、ようやく調子を取り戻したといっていいだろう。

 そんな藤浪の復活劇の裏にあるといわれているのが「窮地効果」だ。球団関係者がこう話す。「藤浪は窮地や重圧のかかる場面でこそ潜在能力を発揮する選手。この2試合はまさにそうだった。その状況が藤浪の覚醒を呼んだんだよ」

 前回登板の5月27日は内容次第で二軍落ちという背水の陣。さらに、この日は前日3日の試合でチームは3点リードの9回にメッセンジャーと呉昇桓が打たれて悪夢の逆転サヨナラ負け。試合前のチーム内には「今日、負ければ一気にズルズル行きかねない」と悲壮なムードばかりが漂うなど、どちらも重圧がかかるマウンドだったが、藤浪に関してはむしろ、それがプラスに働いたと見られているのだ。

「昨日、負けて流れが悪い中で、しっかり自分が流れを作ろうと思ってマウンドに上がった。(ここまで)情けない投球が多かったので、取り返せるように頑張りたい」とさらりと話した藤浪。このままいけば“崖っ縁に強い男”が新たな代名詞にもなりそうだ。