<オリックス1-2巨人(1日)>巨人は1日(京セラドーム)、連日の接戦を制しオリックスを2―1で下し、3連勝で交流戦単独首位に立った。原監督はこの日、父の貢氏が29日に心不全のため78歳で死去した事実を初めて、自分の口からナインに伝えた。最愛の父を亡くし悲しみに耐え、戦いに臨んだ指揮官の気持ちを支えようとチームは一致団結。巨大戦力がようやく本領を発揮し始めた。

 貢氏の死について、原監督は「近日中に近親者のみで執り行う密葬後に語りたい」との意向を、球団を通じて示した。それでもともに戦うナインに何も言わないわけにはいかない。試合前のミーティングで自ら、悲しい事実を伝えた。

「父は家族に看取られて幸せな最後を迎えることができました。ご心配、ご迷惑をお掛けしました」。涙に声を詰まらせて頭を下げる指揮官の姿に、選手もそれぞれ感じ入るものがあった。亀井もその一人だ。右手人さし指の骨折から復帰して今季初出場した前日は、延長12回に決勝ソロ。そしてこの日は5回無死一、三塁で打ちあぐんでいたディクソンから貴重な先制適時二塁打を放った。

「まだまだ物足りない」と状態は万全ではない。それでも亀井は一軍に呼び、すぐに起用してくれた監督の期待に応えたいと強く思っていた。

 さらに指揮官が悲しみに耐えて戦っていたこともこの日、知った。「昨日の時点では(貢氏の死を)知らなかったんですけれど、勝利という形でオヤジさんに届けばいいと思います」と、したたる汗をぬぐいながら話した。

 投げては杉内が6回途中1失点でしのぎ、東海大出身で貢氏の“教え子”の久保も、2試合連続の無失点リリーフ。パ首位のオリックスから連勝を飾った試合後の原監督は「どっちに転ぶか分からない試合だったが、粘りという点でわが軍が少し上回った」とナインの健闘をたたえた。

 チームは今日2日、福岡へ移動するが原監督と菅野も帰京せず、行動を共にする。発表では貢氏が神奈川県内の病院で息を引き取ったのは、5月29日の楽天戦後の午後10時40分。原監督は試合後に父のもとへ直行したとみられる。近親者のみで別れを済ませた翌日、新横浜駅の新幹線ホームに姿を見せた時には、チームを離れない覚悟を固めていた。

 原監督が「優勝を目指す」と2年ぶりにV宣言して臨んでいる今季の交流戦。好調オリックスを撃破し、巨人は単独首位に立った。

 悲しみに耐えてタクトを振る指揮官の姿に奮い立ったナインはこの日、大阪市内で選手だけの決起集会を開いて団結を確認。巨大戦力がいよいよ一つになって動き出した。