“今の広島は失速しない!”と言える理由

2014年05月31日 16時00分

【大下剛史 熱血球論】開幕から順調だった広島も、交流戦はいきなり4連敗を喫した。昨季までならこのまま失速するところだが、今の野村監督を見る限り、その心配はなさそうだ。注目したのはソフトバンク、オリックスとの対戦を終えて本拠地マツダスタジアムに戻った25日の西武戦での、7回の采配だ。

 

 1点リードながら無死満塁で、打席には昨季のパ・リーグ打点王の浅村を迎えた。これまでの野村監督ならば「5連敗を阻止しなければ」と、その時点で即ピッチャー交代となっていただろう。しかし、この危機で先発バリントンの続投を選択。前進守備を指示し、浅村を併殺に取って乗り切った。その後は8回に中田、9回を一岡という継投策で連敗を止めた。この続投はバリントンとの信頼関係を深めるとともに、自信にもつながったはずだ。

 

 昨年までの野村監督は一人で考え、冷静さを失い独り相撲となってしまうこともあった。今年は違う。緒方野手総合コーチという“相棒”ができたことで変わった。

 

 監督はいろいろな場面を想定して試合に臨むものだが、思い通りにいかないのが野球というもの。そんなときにベンチ内で話し相手がいるのは大きい。言葉を交わすことで監督自身が冷静になり、大局的に戦況を見つめてこそ適材適所の用兵をすることができるというものだ。

 

 今季は緒方コーチが聞き役となり、時には指揮官に問いかけ、難局を乗り切っている。28日のロッテ戦では8回に自慢のリリーフ陣が崩れて逆転負けを喫した。しかし、心配することはない。長いペナントレースは山あり谷ありだ。野村監督と緒方コーチがコミュニケーションを取りながら戦っていけば大丈夫だろう。

 

 ベンチワークで勝つ試合が1年間で3つあればリーグ制覇は大きく近づく。あとは首位の原動力となっている大瀬良、九里、一岡、中田の若手4人が今後をいかに乗り切るか。開幕して2か月が経過し、疲れが来る時期だけに体調管理に十分、気を配り戦い抜いてほしい。(本紙専属評論家)