「長野9番」に込められた原監督のメッセージ

2014年05月26日 16時00分

7回先頭の第3打席で空振り三振の長野は3タコに終わった

 巨人の“安打製造機”が窮地に陥った。2―0で辛勝した26日の日本ハム戦(東京ドーム)で、原辰徳監督(55)は不振の長野久義外野手(29)をルーキーイヤー以来の「9番・中堅」で起用した。入団以来、打線の主軸を任ってきたバットマンに久々に吹き付けた向かい風。屈辱的な仕打ちの裏に隠された指揮官のメッセージとは――。

 

 この日3タコの長野は珍しく一番乗りでロッカーから現れると「お疲れ様です」とひと言残して足早に球場を後にした。

 

 打率2割6分8厘、4本塁打、18打点(26日現在)。長野の実力からすれば確かに寂しい。だが、過去に首位打者や最多安打のタイトルを獲得し、昨季もベストナインに選ばれた選手に「9番」を打たせるのは、厳しすぎる仕打ちにも映る。

 

 原監督は試合後、その意図を聞かれると「彼の場合、いろいろな打順でどこがいいのか試行錯誤している。こっちも考えているが、合う打順がない。合う打順を探してもらいたいね」。これで長野が今季打っていないのは2番と4番だけになった。

 

 同僚ナインからは「あんなにコロコロ動かされたら、さすがのチョーさんでもリズムをつかめないでしょう」と同情の声も聞こえるが、指揮官が自ら“枢軸”と称する選手にここまで厳しく当たるのはなぜか。前出の同僚は「去年の交流戦で修さん(村田)を9番に下げたら、それから調子が上がったでしょ? チョーさんも同じ日大出身。同じ手が通じると考えたのでは」という見方を示した。

 

 昨年6月12日のオリックス戦で、原監督は打率2割5分台に沈んでいた村田を9番に据えた。すると村田の調子はそこからみるみる上昇。最終的には3割1分6厘、25本塁打、87打点でMVP候補にまでなった。指揮官はこれに味をしめ(?)長野にも同じ作戦で臨んでいるというのだ。

 

 昨季終了後、長野は本紙のインタビューで「修さんが9番を打って、僕が1番を打っていたときなんて『申し訳ないな』って思いながら野球をやるわけですよ。でもそんな苦しい状況を、修さんはしっかりはね返しましたからね。先輩のそういう姿は見習いたいです」と語った。素顔はチームの誰より熱い。持ち前の反骨心で、先輩も経験した苦境を乗り越えることができるか。