中日のダニエル・カブレラ投手(32)が23日の楽天戦(コボスタ宮城)で7回途中1失点の好投でチーム単独トップの5勝目を挙げた。今季は敵地で3試合に登板して0勝2敗、防御率9.49と苦しんできたが、ようやく初勝利。この裏には本人がこだわり続けた“登板日儀式”の封印があった。


 ビジターでの登板の場合、普通の先発投手は、試合の約2時間30分前(午後6時試合開始の場合は午後3時30分ごろ)にはグラウンドに姿を現してアップを開始する。だがカブレラの場合、試合開始の約50分前(午後5時10分ごろ)になってようやく体を動かし、それまでの間はロッカールームにこもり、誰とも言葉を交わさず、お気に入りの音楽を聴いてひたすら瞑想してきた。


 それをこの日は変更。午後3時40分ごろにチームメートがアップを開始した際、カブレラは、その輪にこそ加わらなかったが、グラウンドに登場。森ヘッドコーチと何やら雑談したり、マウンドを確かめたりと忙しく歩き回った。


「何かを変えなきゃいけない。ずっと勝っていないからね」とカブレラ。これまで、その独自の調整法には周囲から「いい加減にしろ」との声もあった。それでも、かたくなに通してきたのは本人にとって重要な“儀式”だったからだが、それを捨ててまで敵地白星が欲しかったのだ。


「久しぶりにリズム良く、良いバランスで投げられた。ストライクをコースコースに投げることができた」。カブレラは納得の表情だった。