阪神投手陣から新井貴浩内野手(37)に熱烈ラブコールが巻き起こっている。理由は守備だ。先発、リリーフともに深刻な駒不足に陥っている上に19日現在でエース・能見が3連敗中、藤浪も2勝と伸び悩んでいる。この苦しむ虎投手陣を救うのは「一塁・新井貴」しかいないというのだ。

 和田監督が「ここ数年いいスタートが切れていない。後手後手に回っている。最終的に勝率5割くらいまでくるんだけど…」と渋い表情でもらすように阪神は交流戦を苦手にしている。現行の4試合総当たり方式となった2007年以降7年間で勝ち越したのは2回だけだ。悲願のリーグ優勝のためにも、ここで後退するわけにいかない。

 そんな中、投手陣が交流戦のキーマンとして注目しているのが新井貴だ。ある投手が「新井さんが(一塁に)いると安心する。投球に集中できる」と打ち明ければ、別の投手も「試合中の(投手への)声のかけ方に独特の間がある。ほかの選手と違うんです。言ってくれる言葉は『しっかりいこう』とか普通なんですが…。それが不思議と落ち着く」と指摘。実はマウンド上で平常心を保つためには欠かせない存在だった。

 しかし、今季は新助っ人のゴメスが開幕から期待通りの活躍を見せており「4番・一塁」は不動。この影響で新井貴は代打要員となっており、先発出場は一度もなく、守備に就いたのは5試合だけだ。ただ、交流戦ではセ・リーグの主催試合でもDH制が採用されるため首脳陣は指名打者・ゴメス、一塁・新井貴という布陣を温めている。そこで投手陣は絶妙なタイミングで激励してくれる新井貴の“復活”を熱望しているのだ。

 さらに、今季30試合に三塁で先発出場している弟・良太の存在も心強い。球団関係者は「一塁と三塁で新井兄弟に挟まれたら、そりゃ誰でも元気が出るだろう」という。常にハッスルプレーでチームを鼓舞する新井良。マウンド上から左を見れば一塁に貴浩、右を見れば三塁に良太という元気印兄弟がいれば投手も「勇気百倍」となることは間違いない。

 投手陣は和田監督がメンバー表に「一塁・新井貴」と書き込むことを願っている。