阪神は14日、マット・マートン外野手(32)の7号ソロなどで首位・広島に4―3と競り勝った。主砲の約1か月ぶりの一発で4カード連続負け越しを阻止。5月に入って黒星が先行していた和田阪神が反撃態勢を整えつつある。その裏で首脳陣は悩める助っ人の「イライラ病」を心配し、その「左足」を注視していた。

 4回に4月12日以来となる本塁打を放ったマートンは「今まで打席でしっくりきていない部分があったので、一発が出て良かった」と復調への手応えを明かした。

 開幕から絶好調だったマートンは4月を終えた時点で打率3割6分5厘、32打点、6本塁打。しかし、5月はこの日の試合前の段階で打率2割7分、打点と本塁打はゼロと調子を落としていた。そんな中、首脳陣が気にかけていたのはマートンの精神状態だ。

 あるコーチは「不振に陥るとどうしてもイライラして、それを表に出してしまう。守備で集中力をなくしたり、審判の判定に怒りをぶちまけたり…。チームにも悪い影響を及ぼすので、何とかイライラさせないようにしないといけない」と指摘する。

 そこで、何としても「イライラ病」の発症を避けたい首脳陣はチェックポイントを発見した。それが「左足」だ。コーチの1人は「マートンは調子を落とすと、普段は打つ時に投手方向へ真っすぐ踏み出す左足が三塁側に流れる。これで体の開きが早くなってしまい、本来の打撃ができなくなってしまう」と解説する。

 さらに、この左足の動きが審判への怒りにも直結するという。前出のコーチは「体の開きが早くなることで外角のボールが遠く見えてしまう。本調子ならストライクと判断できるコースもボールに見えてしまう。マートンはボールと思って見逃しているんだけど、判定はストライク。これが審判への不満を爆発させる原因になっていた」と明かす。

 この打撃不振から判定への怒り爆発という悪循環を避けるために常に左足の動きをチェック。少しでも三塁側に踏み出すようなら修正する必要があると考えていたのだ。幸い、今回は“危険な兆候”が出る前に復調ムードに転じた。広島追撃のためには安打製造機の本領発揮が欠かせないだけに今後も首脳陣はマートンの「左足」から目を離せない。