【大下剛史 熱血球論】勝負どころと見た9連戦(5月3~11日)を5勝4敗で勝ち越した広島だが、心配な点もある。セ・リーグトップの11セーブを挙げ、防御率も1・35と抜群の安定感だったミコライオの戦線離脱による抑え問題だ。広島が今の位置にあるのは一岡、ミコライオと試合終盤を安心して任せられる投手がいたからこそ。その抑えが不在となることは大きな痛手だ。

 ファームの16試合で7セーブ、防御率0・00の新外国人・フィリップスを上げ、10、11日の試合で早速起用した。ミコライオのケガが長引かないことを祈るばかりだが、非常事態ですぐに昇格させられる助っ人がいたのはフロントの手腕といえる。今後はフィリップスに、そのまま抑えの代役を任せることになるだろう。この助っ人左腕がしっかりと機能するかがチーム浮沈の鍵を握っている。

 今の野球は後ろの投手から考えていくと言っていいほど、試合終盤のリリーフ陣の重要度が増している。常勝軍団だった数年前までの中日は浅尾、岩瀬が盤石を誇り、安定した試合運びで勝ちを積み上げていた。しかし、浅尾がいない現在の中日は見ての通り苦しい戦いを強いられている。広島側も明日は我が身だと感じ、油断せずに不測の事態にも備えておくべきだ。

 野手陣にも気掛かりはある。右手薬指骨折のため堂林が離脱。本来の元気を取り戻してきたところだけに痛い。三塁もできる田中がいるとはいえ、堂林は将来のカープを背負って立つ存在だ。今後のためにも首位争いを多く経験してほしかった。また、依然として梵の状態が上がってこないことも気になる。今はチーム状態がいいが、長いシーズン、このまま順調にいくとは限らない。ピンチに陥った時こそ、経験豊富な梵の力が必要になる。中途半端な気持ちでプレーするよりも10日間なら10日間、一度リフレッシュして立て直すことを勧める。 (本紙専属評論家)