なぜセペダ?巨人がグリエル獲らなかったワケ

2014年05月14日 16時00分

握手しながら原監督(右)の肩に手を回すセペダ。俺に任せろといわんばかりだ

 球界が突然のキューバブームに沸いている。12日は巨人に新加入したキューバ代表の主砲フレデリク・セペダ外野手(34)が来日し、都内の球団事務所で入団会見が開かれた。一方、DeNAも同国代表の“至宝”ユリエスキ・グリエル内野手(29)との入団交渉が大詰め段階にあることを公表。キューバの2大スターが立て続けに日本球界入りした舞台裏では、どんなドラマがあったのか。

 巨人の球団事務所で開かれたセペダの入団会見には、原監督と原沢球団代表兼GMが同席した。フラッシュの嵐に迎えられたセペダは「日本で一番歴史がある伝説的なチームでプレーできることを誇りに思う。自分にできる全てを出して、巨人軍に尽くしたい」と興奮気味に意気込みを語った。

 原監督から「レフト一本で勝負してもらう」と指名されたセペダは、現在一軍に在籍するアンダーソン、ロペス、マシソンの3人に、二軍調整中のセドンを加えた5人で外国人4枠を争うことになる。

 一方、DeNAでもこの日はキューバからうれしい知らせが飛び込んできた。高田GMが同国球界の“至宝”と称されるグリエルとの入団交渉が合意間近であることを明かすと、中畑監督は「チームが浮上するための起爆剤になるんじゃないか。(獲得)実現に大いに期待しています」と喜んだ。

 中畑監督が興奮するのも当然で、巨人に入団したセペダは確かにキューバ球界の大物だが、現在同国リーグのスーパースターといえば文句なしでグリエルなのだ。29歳とまだ若く走攻守で一級品のグリエルは、メジャーも動向に注目していた。

 もちろん以前からグリエルを高く評価していた巨人も、黙って指をくわえて見ていたわけではない。この日セペダの入団会見に同席した島崎国際部長が明らかにしたところでは、昨年9月にキューバのスポーツ庁長官が来日し「獲得希望選手リストを出してほしい」という打診があったという。

 本紙の取材に島崎部長は「数人の選手」を獲得希望リストに載せてキューバ側に提出したと明かした。その中にグリエルが含まれていたかについて、同部長は明言を避けたが「(グリエルは)誰が見ても素晴らしい選手。全く関心がなかったわけではない」と興味を持っていたことを認めた。

 今回の事情に詳しい球界関係者によると「グリエルについては『内野で固定してほしい』というのがキューバ政府の求めた条件だったようだ。DeNAは、その条件をのんだということだろう」。石川を中堅に回し、グリエルを二塁起用する構想を温めているというDeNAに対し、片岡と井端が加わった巨人の内野は飽和状態。島崎部長もセペダ獲得は「あくまで補強ポイントに沿った結果」だと強調しており、巨人がグリエル獲得を見送らざるを得なかった裏には、そうした事情もあったとみられる。

 それでもセペダ獲得をきっかけに野球大国キューバと友好協定を結んだことは、今後の巨人にとってプラスに違いない。この日の会見で新たに中南米担当スカウトを置くことを明かした原沢代表は「これまでよりは(キューバ選手の獲得が)増えていくと思う。我々の視察調査でいい選手がいれば獲得したい」と次なる大物獲りに意欲を示した。

 選手の国外移籍解禁は日本球界にとっても“キューバ革命”だ。今後は巨人とDeNA以外の球団も、ブームに乗り遅れまいと参戦してくるに違いない。次なる大物獲得を狙う各球団の動向が注目される。