広島は10日、中日戦(マツダ)に13―5で大勝。貯金を今季最多の12とした。先発した前田は初回に3点を失う苦しい立ち上がりも、好調の打線がエースを力強く援護。3回に集中打で逆転すると、その後も攻撃の手を緩めずに今季最多タイの13得点で竜を撃破し、今回の9連戦の勝ち越しを決めた。前田も粘りの投球で7回4失点にまとめ、今季4勝目を挙げた。

 赤ヘルの助っ人主砲が大爆発だ。1点を追う3回、丸の犠飛で同点に追い付く。なおも二死三塁で、エルドレッドは中日・カブレラのスライダーを左前に運び、チームに勝ち越し点をもたらした。4回二死二塁のチャンスでは、相手2番手の武藤が投じた内角高めの直球を左翼2階席に運び、勝利への流れを決めた。

 進化を見せる助っ人は3、4月の月間MVPを獲得するほどの活躍ぶり。本塁打、打点、打率の打撃3部門で堂々のトップ争いを演じている。春季キャンプで野村監督の直接指導の下、新たなタイミングの取り方を身につけた。「しっかりと右足に体重を残してボールを見極める。呼び込んでボールを見る時間を取るようにしているんだ」。これが好調の最大の要因だ。

 来日3年目となり、日本の野球にも順応。「相手ピッチャーがどんなボールを投げるのかなどが分かっていることも大きい」という。この日のお立ち台では「アリガトウゴザイマス」と言って喜びを表現した。日本語もどんどん覚えている。「今は『しょうがない』『どうでもいい』という言葉が好き。先日、雨の日の試合で打席に入ったときキャッチャーに『しょうがない』と言ったら笑われたよ」

 先発・前田は初回、森野に3ランを浴びながらも、味方打線の援護で逆転してからは粘りの投球で4勝目をゲット。先頭打者となった3回には安打で出塁し口火を切るなど意地を見せたエースは「内容がなさ過ぎてひどい。それでも勝たせてもらったので次に向かいやすい。内容をしっかり反省していきたい」と前を向いた。

 この日は「関東カープ女子野球観戦ツアー」と題したイベントで関東の女性ファン148人がマツダスタジアムに来場。そうした熱気が「ゲーム中もすごく声を掛けてくれた。黄色い声援だった」(エルドレッド)と赤ヘルナインを後押しした。貯金を今季最多としたカープ。こうなったら、このまま悲願のリーグ制覇まで突っ走るしかない。