巨人が9日、阪神に4―2で逆転勝ちし、今季甲子園初白星をマーク。しかし、その舞台裏では阪神ナインが身にまとった“甲子園カラーユニホーム”に幻惑され、悪戦苦闘を強いられた。

 苦しみながら、伝統の一戦を制した。前回対戦で完封を許した能見に5回二死までパーフェクトに封じ込まれる嫌な展開。それでも一瞬の隙を見逃さず、6、7回の2イニングで4点を奪うと、7回以降、先発の大竹から4投手をつぎ込む必死の継投でなんとか逃げ切った。


 原監督は「少ないチャンスの中で得点できた。攻略したとまではいっていないと思うが…」とやや不満げだったが、まずは敵地での初勝利にホッとした様子。6回1失点で5勝目の大竹は「相手が能見さんだし、僅差の試合になると思っていた」と語ったが、実は苦戦の原因は意外なところにもあった。


 試合直前、巨人関係者数人が「な、なんだアレは…」とつぶやいて目を点にした。阪神ナインが、甲子園誕生90周年を記念して緑を基調に製作された限定ユニホームに身を包んでいたからだ。


 今どきは限定ユニホーム企画など珍しくない。だが、巨人にとってはこの“緑=甲子園カラー”が厄介な要素になった。「ただでさえ能見さんは球の出どころが見にくいのに、緑色のユニホームが背景の球場と同化して余計に見づらくなりそう…」。主力野手も試合前から、こんな心配を口にした。


 さすがに試合後はユニホームを言い訳にするような選手はいなかったが、ベンチから試合を見ていたスタッフによると「日が暮れてからはコントラストがはっきりするようになったけど、それまではフェンスと(ユニホームの色が)一体化していた」。


 確かに5回二死まで能見に手も足も出なかった巨人打線が逆転に成功したのは、周囲が完全に暗闇に包まれてからだった。しかし、阪神は10、11日の残り2戦も“甲子園カラー”のユニホームを着用する。この日は何とか勝ったが、今カードの虎はいつにも増して厄介な敵となりそうだ。