“グラウンドの鬼”のDNA見せた原一族

2014年05月07日 16時00分

いつも通り采配を振った原監督(中)も試合後はどこか寂しげだった

 これも原一族の定めなのか――。巨人・原辰徳監督(55)の父で菅野智之投手(24)の祖父・貢氏(78)が心筋梗塞に倒れて重篤な状況が続くなか、6日のDeNA戦(東京ドーム)では一時戦列を離れていた指揮官が復帰。試合は1―2で敗れたが、動揺を見せず采配を振った。また前日の中日戦で奮投した右腕も普段通りの姿でグラウンドへ登場。気丈に振る舞う姿に、ナインの支持率が急上昇した。

 

 混乱の名古屋から本拠地へ戻って迎えたDeNA戦。試合は4戦無敗だった相手に今季初黒星を喫した。そんななか“本当の強さ”を見せたのが原家の2人だった。

 

 前日の中日戦は病床の父のもとに駆けつけるためベンチを離れていた原監督が、一夜明けたこの日は普段通り午後1時過ぎに球場入り。出迎えた報道陣に「昨日はご迷惑をおかけしました」と一礼すると「父は一生懸命闘っている。その点に関しては祈るしかない。(病院で)会うことはできたが、話すことも意思を伝えることもできなかった」と見舞った際の様子を明かした。

 

 一方の菅野は、指揮官よりひと足先に姿を見せた。前日の中日戦ではチームに残り、7回2失点の奮投で6勝目を挙げると、その足で病床の祖父にウイニングボールを届けた。さすがに疲労の色は隠せない。それでもグラウンドに出ると、表情は一変していた。

 

 人懐っこい笑みを浮かべながら、杉内や大竹を相手に明るい声でいつものように冗談を飛ばす。そんな菅野の様子を見ていたある主力は「周りに心配かけまいと思ってのことでしょうね。ああいうことが自然とできるのが、智之のすごいところなんです」と感心した。新人時代から右腕を見守るスタッフも「昨日の投球の迫力を見ただけでも『正真正銘のエースになったな』と感じたけど、あんな姿を見れば、文句を言う人は誰もいませんよ」と成長に目を細めていた。

 

 原監督も父について触れたのは試合前まで。ベンチでは普段の采配に徹した。試合後も「(7回2失点のセドンは)立ち上がりは工夫する部分がある」などと話したが、2戦ぶりの指揮について質問が飛ぶと、聞き終える前に「まあ、そこらへんはもういいでしょう」と制して会見を終えた。

 

 病床の貢氏は、球界では“グラウンドの鬼”として知られた存在だ。そのDNAは原監督はもちろん、菅野にも受け継がれている。