強い絆を生む野村監督の「英語で声かけ」

2014年05月07日 11時00分

4回、畠山(左)に本塁打を浴びた九里

 あと一歩及ばなかった。広島は6日、ヤクルトに3—4で惜敗。先発のルーキー九里が4回3失点で降板し、9回に1点差まで詰め寄った打線もツバメの継投に逃げ切られた。それでも、まだ首位。敗れても「弱さ」はみじんも感じられない。それが証拠にベンチ裏では野村監督の冴え渡る声かけ術がチームに好ムードを呼び込んでいる。

 もったいない試合だった。先発の九里が立ち上がりから制球が定まらず初回、いきなり山田に先頭打者本塁打を浴びるなど苦しんだ。4回には畠山にも一発を打たれるなど、この日は4イニングを3安打3失点で降板。打線は必死に追い上げを見せたものの、あと一歩及ばなかった。

 敗れたとはいえ、首位チームとして、いい意味での“余裕”をのぞかせた。象徴的だったのは2点を追う4回だ。中前打で出塁した先頭の堂林を菊池がバントで送って一死二塁。打席に立ったのは丸。是が非でも1点をもぎ取りたいと、何か仕掛けたとしても不思議はなかった。しかしここでベンチからエンドランのサインは出なかった。

 結果は丸が遊ゴロで、次打者のエルドレッドも三邪飛に倒れて三進した走者を本塁へかえすことはできなかった。しかし、このイニングで見せたベンチワークの意味は大きい。野村監督があえて動かなかったのは今のクリーンアップに全幅の信頼を置き、小細工など不要でじっくりと打たせるという姿勢を貫いているのだろう。

 こうした指揮官の気持ちは着実に選手たちの心をとらえている。主砲のエルドレッドは「チーム全体がここまでいい流れで来ていることは確か」と語り、野村監督との“絆”が深まっている理由をこう打ち明けた。

「監督はよく試合前に英語で一声、言葉をかけてくれるんだよ。『Do my best!』とか『Let’s do our best!』(いずれも『ベストを尽くそう』の意味)などと言ってくれる。監督が直接語りかけてくれれば、誰だってうれしくなるよね。やはり気持ちが熱くなるし、頑張って活躍しようと思うよ」

 エルドレッドによると、野村監督はキラやバリントン、ミコライオ、そして先日まで一軍で活躍しながら登録枠の関係で二軍行きとなったロザリオら他の助っ人たちにも英語による声かけを「コンスタントに行ってくれている」という。

 この日は9回に1点を返し、1点差まで詰め寄ったが、あと一歩及ばす。だが、試合後の野村監督はサバサバとした表情で「粘っていいところは見せてくれたが、逆転してくれれば良かったけれどね。負ける時はこういうもの。勝ちたいけど、そんなしょっちゅうは勝てないよね」。

 助っ人を含め、主力たちへの信頼は少しも揺るぎはない。こうした野村監督のブレない姿勢が強い広島の主軸となっている。