じいちゃんに届け! 菅野7回2失点 開幕6連勝!!

2014年05月06日 09時00分

マシソンからウイニングボールを受け取る菅野(左)

 巨人に5日、緊急事態発生だ。原辰徳監督(55)の実父、貢氏(東海大系列校野球部総監督)が4日夕に心筋梗塞と大動脈解離を発症し、神奈川県内の病院に入院。Gの指揮官はこの日の朝、球団の判断で名古屋遠征中のチームを離れ、貢氏が入院している病院へと向かった。

 この日の中日戦(ナゴヤドーム)には。貢氏の孫である菅野智之投手(24)が先発。突然の事態にも動揺することなく7回2失点と好投し、勝利に貢献。1984年の江川卓に並び、球団史上3位タイとなる開幕6連勝をマークした。

 巨人・原沢球団代表によれば、貢氏は4日の夕方に神奈川県内の病院に緊急入院。検査の結果、心筋梗塞と大動脈解離と診断されたという。一夜明けた5日になっても病状は回復せず、原監督は原沢代表のすすめもあり、帰京して病院に向かうことを決意。チーム宿舎の朝食会場で川相ヘッドコーチに「頑張って勝ってくれ」と言い残し、朝に名古屋を離れたという。「かなり厳しい状況と聞いています。監督はチームと一緒にいたかったんじゃないかと思いましたが、私の判断で『行ってください』と話しました」(原沢代表)

 試合は川相ヘッドコーチが代行監督として指揮を執ることになり、原沢代表が試合前のミーティングでコーチやナインに事情を説明した。

 家族の配慮もあって祖父の緊急入院をこの日の朝知ったという菅野。いても立ってもいられない心境だっただろうが、それでも中5日での先発マウンドに立った。「今日の試合が決まっている以上、結果を出すことだけ考えました。(ふがいない投球をしては)じいちゃんに怒られちゃいますし。それに、今はチームが大事なとき。自分個人のことでチームに迷惑はかけられないです」

 菅野にとって貢氏は幼少期にスパルタで鍛えられた“師匠”でもある。今季もオープン戦や公式戦で同氏が見守るなか投げ、時にはほめられ、時にはゲキを飛ばされた。突然の出来事にショックは隠しきれなかったが、右腕の頭の中に「回避」という選択肢はなかった。

 初回、2回と立て続けに1点ずつ失点。立ち上がりはいまひとつだった。それでも、味方に同点に追いついてもらった直後から調子を取り戻した。「使える球がシュートしかなかった。点を取られてから阿部さんと『スライダーじゃなくてカットボールを使おう』と相談してカットとカーブを投げた」と話したとおり、配球を組み立て直し、3回から6回まで毎回の6奪三振。7回に招いた二死一、三塁のピンチも、荒木を147キロの内角直球で詰まらせ二ゴロ。3連続完投とはいかなかったものの、気合のこもった128球で救援陣に後を託した。

 驚異的な精神力で球団史上3位タイの開幕6連勝をマークした右腕に、周囲からは拍手が送られた。代行監督を務めた川相ヘッドコーチは「穏やかではなかったでしょう。そりゃ。その中でなんとか踏ん張った」。川口投手総合コーチも「どういう状況でも常に平常心で戦っているということ。勝って次につなげることができた」と賞賛した。

 4番手で登板し試合を締めくくったマシソンはこの日の菅野について「自分の祖父が同じようになったら非常につらい。菅野は技術だけじゃなく精神力の強さも見せた。日本でも一番の投手だよ」。メジャー経験者をも驚かせる見事な投球だったということだ。

 原監督は6日にもチームに合流する予定。球団を通じて「父は今、一生懸命戦っている状況です。今は、見守るしかありません」とコメントを寄せた。依然として予断を許さない状況のなか、G指揮官は、貢氏とチームとともに戦い続ける。