原監督バッテリーごと交代の“真意”

2014年05月01日 16時00分

原監督(右)に交代を告げられた阿部

 巨人に不穏な空気が漂い始めた。1―9の完敗を喫した30日のヤクルト戦(東京ドーム)で、原辰徳監督(55)が3回途中10安打6失点のクリス・セドン投手(30)だけでなく、同時に阿部慎之助捕手(35)も交代させる“鬼采配”を振ったからだ。今季の阿部が打撃不振に苦しんでいるのは確かだが、守備面にまで厳しい目を向けられていることも判明。波に乗り切れないチーム事情と相まって、悩める主将が追い詰められつつある。

 

 初回から大荒れだった。制球が定まらないセドンはバレンティンの天井直撃安打などで一死満塁のピンチを招くと、飯原の遊ゴロであっさり先制を許した。3回には相川の適時打で傷口を広げ、二死二、三塁から山田の2点適時二塁打でリードを5点とされたところで原監督の我慢は限界に。ここまでは“ありがち”な光景だが、この日の指揮官はマウンドへ向かおうとする阿部を手招きで制し、バッテリーごと交代を告げた。

 

 試合後、阿部まで交代させた意図について原監督は「本当は(阿部を)代えたくない。チームが勝つために最善策を取った」と説明した。3回の攻撃が7番からで投手の打順に回るため「(6番の)慎之助のところに投手を入れるという用兵を選択した」という。

 

 確かに説明としては筋が通っているが、ここ数年、同様の理由でチームの大黒柱を交代させたケースはなかった。では、今季の打撃不振が理由かといえば、阿部は前回の同カードで、この日と同じ古野から2本塁打を放っている。

 

 交代の“真相”をうかがわせたのが、試合後の川口投手総合コーチのコメントだ。セドンについて「期待していたんだけどね。癖がばれているのかも」と話す一方で「持ち球の球速が変わらないから、直球待ちでもスライダーを打たれたり、チェンジアップを打たれたりする。どこかで(配球を)シフトチェンジしないといけない」と捕手の責任に言及した。セドンを勝ちに導けなかった阿部も悪いというわけだ。

 

 ナインによれば「阿部さんの打撃の不調が、最近はリードにも悪影響していると首脳陣は感じているようです」という。原監督が同時交代の決断を下したのも、そうしたベンチの空気をくみ取って、阿部に“連帯責任”を負わせる意図があったようだ。

 

 一方で阿部の周囲からは「今日のセドンなら誰が受けても結果は同じでしょう。投手陣が不調で首脳陣もストレスがたまっているんでしょうが、あれで責任をかぶせるのはかわいそう」との声も上がっていた。

 

 阿部は屈辱の途中交代にも「しょうがない。ああいう展開にしてしまったから…」と悔しさをかみ殺して球場を後にしたが…。最強巨人を支えてきた大黒柱の立場は急速に悪くなっている。