<広島5-11巨人(26日)>巨人・原監督が“動”の采配で、眠っていた打線を叩き起こした。26日の広島戦(マツダスタジアム)では村田を4番から外し、代わりに新助っ人アンダーソンを起用するなどオーダーを大胆に変更。これが奏功し、18安打で11点を奪いカープ投手陣を粉砕。古巣相手に初先発した大竹に今季3勝目をプレゼントした。

 試合前の巨人ベンチ裏は、いつになくピリピリした空気に包まれていた。原因はすぐに判明。原監督が思い切った打順変更を決断したのだ。

 試合前まで23打席無安打の阿部は6番、調子が上がりきらない村田を7番に下げ、クリーンアップは長野―アンダーソン―ロペスという並び。開幕から我慢して4番に据え続けていた村田を、24試合目でついに外した。

 これまではどことなくのんびりムードの攻撃陣だったが、これで目の色が変わった。初回、一死から片岡、長野の連打で二、三塁とすると、アンダーソンの一ゴロの間にあっさり先制。その後はもう止まらなかった。

 勢いがある助っ人中心の新クリーンアップは、3人で2本塁打を含む6安打5打点。なかでも巨人第79代4番打者に指名されたアンダーソンは、5号2ランを含む2安打4打点と大暴れした。

 それを見て村田も静かに燃えていた。4回、先頭のロペスが3点目の8号ソロを放つと、一死後の第2打席に「少し気持ちを落ち着けて打席に入れた」と左中間へ3号ソロ。その後も2安打と打棒復活の兆しを見せた。

 7回には阿部にも27打席ぶりの安打となる二塁打が飛び出し、終わってみればスタメン全員の計18安打で11得点。移籍後、古巣相手に初先発の大竹を強力援護した。

 原監督の中で、巨人の4番は〝聖域〟だ。大勝にも厳しい表情を崩さず「4番を変えるというのは相当な決断だった」と説明すると「いい流れで打線がつながった」と語った。村田については「少しリラックスできたのか、あるいは心に火がついたのか。これからいい方向にいってくれればいい」と奮起を促した。

 新4番に指名されたアンダーソンは、気負わず「後ろが素晴らしい打者ばかりなのでつなごうと思った」という。一方、村田は監督の決断の重さを「重々承知の上」とかみ締めると「今は調子を戻すのが一番。あそこ(4番)に戻れればいいが、しばらくもがければいい」と現状を受け入れてしっかり前を向いた。

 原監督は開幕前から「一度勢いが止まったチームを動かすには、相当なエネルギーがいる」と繰り返し口にしていた。前半戦の勝負どころで今季一番の大ナタをふるい、動きが鈍っていた打線に魂を吹き込んだ。