<広島7-3巨人(25日)>巨人との首位攻防戦を制し、4連勝で貯金を11に増やした広島には、この試合をどうしても落とせない理由があった。広島は逆転を許した直後の3回に丸が苦手としていた杉内から5号2ランで同点にして流れを引き戻すと赤ヘル打線が爆発。1点を勝ち越した6回には「脊髄しんとう」のため離脱したキラに代わって23日にプロ初昇格したドミニカカープアカデミー出身のロサリオが試合を決める一発を放ち、7回には梵も2点を叩き出すなど一気の攻勢で試合を決めた。

 昨季は8勝14敗2分けと分が悪かった巨人を相手に一歩も引くことがなかった広島には“日程問題”を克服するという試練があった。前カードが神宮球場でのヤクルト戦だった赤ヘルナインは、この日(25日)朝一番の新幹線で都内から広島に戻ってマツダスタジアムでナイター試合のハードスケジュール。一方の巨人は23日に鹿児島でDeNA戦を終え、前日(24日)はカープ不在のマツダスタジアムで全体練習を行うゆったりとした日程だった。

 この違いに赤ヘルサイドはこんな反応を示していた。「巨人が前日から広島にいて、ウチが当日に帰ってきて練習して試合、というのはコンディションに差があってもおかしくない状況。でも、これで負けたら世間に同情を買ってしまうかもしれない。それだけは絶対に阻止しようとなっていた」(チーム関係者)。厳しいスケジュールに不満をこぼすのではなく“カープはかわいそうに”と言われないようにしよう。ナインはそう奮起していたのだ。

 金満補強などでチーム力をアップさせるのではなく、育成の力で勝負する広島にしてみれば、日程問題だってハンディを乗り越えるのが当たり前ということか。体はクタクタのはずだったが、毎回の11安打、2盗塁と打って走って気迫で巨人を上回ったナインを野村監督も「逆転されてから、また勝ち越すことができた。選手たちを非常に頼もしく感じる」と目を細めた。赤ヘルの勢いは止まらない。