巨人は24日、鹿児島から広島へ陸路移動し、首位・広島との3連戦に向けてマツダスタジアムで全体練習を行った。首位叩きへ、チームのムードは高まってきているが、相手の勢いも相当なもの。そこでナインの力をさらに引き出そうと、球団では渡辺恒雄球団会長(87)への“あるお願い”が飛び出した――。

 長期遠征もようやく中盤に差し掛かった。ナインはこの日朝、鹿児島から九州新幹線に乗り込んで広島へ入った。宮崎から続く大移動で疲労もたまっているはずだが、選手たちはそんな様子も見せずに午後からマツダスタジアムで約2時間半、みっちりと汗を流した。

 原監督も気合十分で「全体的な戦い方を考える上で、他の5球団のデータが入ってくるようになった。その中で広島はバランスが取れていて、非常にいい戦いをしている」とカープを当面のライバルに定めた。

 敵地での3連勝を狙って送り込むのは杉内、大竹、内海の主軸3投手。川口投手総合コーチは「今回は(広島ファンが詰め掛けて)満員だろうね」と予想したが、ひるむ様子はない。前半戦の勝負どころを前に、選手たちは練習後、広島市内で決起集会を開催した。

 そんな頼もしいナインを、指揮官もポケットマネーを使って日々鼓舞している。この日は九州連戦で活躍したアンダーソンと橋本に“監督賞”が手渡された。関係者によると「今季はすでに10回ほど出ている」という。

 監督賞は若手にとっては、十分すぎるモチベーションになる。だがすでに高年俸をもらっている主力選手たちはそうもいかない。そこで球団関係者が着目したのが、オバマ米大統領と安倍首相が食べたことで話題となっている東京・銀座「すきやばし次郎」の高級すしだった。

 東京に本拠を置く伝統球団の選手たちでも「次郎」のすしは敷居が高いと感じているよう。チームにすし好きは多いが“ミスター銀座”こと長野でも「いくつか店は知っていますが『次郎』では食べたことないですねえ」。高橋由でさえ「まだ一度も行ったことがない」という。原監督も記憶をたどりながら「(店に行ったことは)ないと思うんだよね」と話した。

 同店のホームページによれば、料金は「おまかせコース」のみで「3万円~」となっている。予約はすでに5月までいっぱい。オバマ氏の来店効果で、6月以降の予約を取るのも至難の業となりそうだ。

 ではどうすれば「一度は次郎のすしを食べてみたい」と願うナインの声に応えられるのか。この日、球団では「主筆(渡辺恒雄球団会長)にお願いするしかないですね」という話になった。渡辺会長は安倍首相とも親交が深いことで知られる。かわいい選手のために、すしをごちそうすることも、確かに可能かもしれない。

 球団創設80周年の今季は、日本一奪回が至上命令。その目標を達成するためにも“主筆賞”の早期実現を待ちたいところだ。