広島のドラフト1位ルーキー・大瀬良大地投手(22)が16日の阪神戦(マツダ)に先発し、7回1失点(自責点0)でプロ初勝利を挙げた。最速149キロの直球とスライダーで虎打線を封じ、打っても5回に初安打初打点で貴重な追加点をたたき出すなどまさに“大瀬良ショー”。チームの首位陥落も阻止したが、その裏には“マエケン先生”の存在があった。

 3度目の先発で手にした待望の白星。初めて本拠地のお立ち台に上がった大瀬良は「ブチ最高です。マツダスタジアムで初勝利を挙げることができてうれしい」と広島弁で喜びを爆発させた。この好投の裏にあったのが赤ヘルエース・前田健太(26)の教えだ。

 大瀬良はプロ初黒星を喫した前回登板の9日の巨人戦からスライダーの改良を決断。「カーブに近い緩いボールになっていたので、もっと速くて鋭いスライダーにしたい」と、マエケンに頭を下げて握りや軌道のイメージの助言を受けた。この日の阪神戦では、そのイメージを参考にして開発した“新・スライダー”を駆使した。

 過去2試合の先発では本塁打に泣いたが「高さだけ気をつけた」と制球にも細心の注意を払い、許した5安打はすべて単打。畝投手コーチが「あれならばカーブとの違いがはっきりしていていい」と絶賛した“新・スライダー”ではゴメスから空振り三振を奪うなど“マエケン先生効果”もあって好調・虎打線を封じることに成功したのだ。

 実は大瀬良は改良版の“新・スライダー”だけでなく、握りも軌道もほぼ同じの“マエケンスライダー”も別に習得したという。「そのボールは今日は使わなかったが、必要になる時があると思うので引き出しの一つにしたい」。そちらのお披露目は次回登板以降になるが、これまた他球団には脅威だろう。身内のチーム関係者も「マエケンのスライダーをすぐにマスターするのはすごい。自分なりの投球理論を持っているし修正能力も高い」と目を丸くするばかりだ。

「やっとスタートを切れたなという思い。ずっとお世話になってきたのでウイニングボールは家族に渡したい」(大瀬良)。赤ヘルの黄金ルーキーは今後も“マエケン先生”をお手本にして、さらに進化しそうだ。