統一球問題 他社メーカーの陰謀説まで出た

2014年04月17日 16時00分

 プロ野球の今季使用中の統一球の反発係数が日本野球機構(NPB)の定める基準値を上回っていた問題で、ボール製造元のミズノ社は15日、東京都内で記者会見し、水野明人社長らが一連の騒動について謝罪した。ボールに使用するウール糸の含水率の低下が一因であるとの見解を示したが、球界内では「釈然としない」という声が続出。今回の問題発覚を他社メーカーの「陰謀説」とする声まで飛び出している。

 

 水野社長らは会見場に姿を見せると、深々と頭を下げた。会見でマイクを手にした同社担当者は「統一球が飛びやすい状態になっていた一つの要因として、ボール中心部のゴム製芯に巻くウール糸が製造時に乾燥して含水率は低くなっており、そのためウール糸をきつく巻かざるを得なかったため、ボールが硬くなったことが想定される」と説明。自社の保有する測定器とNPBが依頼した日本車両検査協会の測定器の設置環境の変化によって差異が生じ、結果的に不適合のボールを発見できなかった可能性についても言及した。

 

 今後、ミズノ社は現在保管中の約2300ダースの統一球を検査し、NPBの基準値に適合したものを早急に各球団へ納品する方針。同社側は「最速で22日の公式戦には納品を間に合うようにしたい」とした。また、同社は基準に合う新たな統一球の生産も同社の中国・上海工場でリアルタイムで行っており、新しく生産した統一球に分かりやすく目印を入れることも検討中で検査で基準をクリア次第、全面入れ替えを目指すという。

 

 ミズノ社が公の場で非を認め、適合球使用のメドが付いたことで騒動には一旦区切りが付いたが…。しかし球界には「どうも釈然としない」という声が残っているのも事実だ。

 

 一般のファンは、昨年の騒動もあったことから「またか」とNPBに不信感を持つのも当然だろうが、現場サイドの認識は昨年とはまったく別物。球界関係者はこう疑問を投げかけている。

 

「今回の問題はちょっと騒ぎ過ぎ。確かに数値を後付けで判断すれば今年のボールは“飛び過ぎる”のかもしれないが、人間が作るものなのだから多少の誤差はある。ミズノ社の野球用具製作の技術はボールを含めて世界でもトップクラス。そのミズノ社が適合球を作れなかったのだから、反発係数に規定の上限(0・4234)を設けること自体、無理があるのではないか。反発係数は今後、上限ではなく目標値としたほうがいい」

 

 トップレベルの技術をもってしても、完璧には作ることのできないボールの反発係数をいちいち抜き打ち検査していれば、またいつかは上限を超えるボールがでてくる。その都度、数値を公表していては、同じような騒ぎが起きるのは確実で、そのたびにNPBへの不信感は強まってしまう。だが、公表しなければ「隠ぺい」と言われる。すべては昨年の加藤コミッショナーによる「負の遺産」ということだ。

 

 ちなみに海の向こうのメジャーリーグでは公式球に反発係数が一切決められていない。当然、ボールの質はミズノ社のものよりも悪く、「メジャーの投手に動くボールが多いのは、ボールがでこぼこしているせいもある」と言われているほどだ。

 

 もちろん反発係数を調査、公表することなどなく、多くのメジャー有識者たちが今回の日本の騒動を「バカげた話題」ととらえているのも、それを象徴している。

 

 一方、別の球界関係者からは「問題の発覚は他社メーカーの陰謀ではないか」と指摘する声も上がっている。ミズノ社とNPBの統一球の供給契約は今季までだが、2015年の契約更新も決まっている。だが16年シーズンでの統一球の供給メーカーは複数企業による公開コンペ方式で決められることになっていることから、前出の関係者は「ミズノ社がミスをすれば、それが次のコンペでは当然不利な要素になる。それを見越した上で供給契約を結びたい別のメーカーの関係者が“ボールが飛び過ぎている”という話題を耳にし、すぐにNPB側へ『細かく抜き打ち検査したほうがいい』とプッシュして働きかけたのではないか」との疑念を向けている。

 

 いずれにせよ、またしてもボールの問題がペナントレースに水を差したことには違いない。NPBがひとたび失ったファンの信頼を取り戻すのは、そう簡単にはいかないということか。